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プレスリリース

5年ぶりの高水準となった国内企業のIT投資意欲2014年度はやや減速も、引き続き成長率はプラス水準を維持
― ITRが「IT投資動向調査2014」の結果を発表 ―

株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:内山悟志、以下「ITR」)は、本日、国内企業を対象に2013年10月に実施した国内IT投資動向調査の一部結果を発表いたします。

2001年の調査開始から13回目を数える今回の調査では、国内企業のIT予算ならびに投資戦略が2013年度にどのような動きを見せたか、2014年度に向けてどのような方向へ進もうとしているかに着目しています。また、今回は、自社のビジネスの成長性に対する認識度合い(好調/不調)によるIT戦略の方向性の相違や情報セキュリティ分野への投資動向など、いくつかの分析を追加しています。国内企業955社から有効回答を得ました。

“リーマンショック前”の水準を回復した2013年度のIT投資増減指数

2013年度(2013年4月~2014年3月)のIT予算は、増額(「20%以上の増加」と「20%未満の増加」の合計)と回答した企業の割合が31.7%となり、2012年度(25.5%)を6ポイント強上回りました。増額した企業が30%を超えたのは、2008年度以来5年ぶりとなります。一方、減額(「20%以上の減少」と「20%未満の減少」の合計)と回答した企業の割合も、前年度を大きく下回り、全体的に前向きな投資が行われたことがうかがえます。

2014年度(2014年4月~2015年3月)に向けた見通しについては、増額を見込む企業の割合が2013年度実績をやや下回ったものの、減額を見込む企業の割合は引き続き低水準にとどまっており、成長率は引き続きプラスで推移すると見られます。

なお、このIT予算の増減傾向を指数化した「IT投資指数*1」で見ると、2013年度の実績値は前年調査の予想を大きく上回る「2.10」となり、リーマンショック前の2007年度以来の2ポイント台となりました。2014年度の予想値は2013年度の実績値を下回ったものの、過去5年では最もポジティブな値となりました。

*1:20%以上の減少を-20、横ばいを0、20%未満の増加を+10などとして積み上げて回答数で除した値


<参考資料1> IT予算額増減の経年変化(2012~2014年度予想)
<参考資料1> IT予算額増減の経年変化(2012~2014年度予想)

出典:ITR「IT投資動向調査2014」


<参考資料2> IT投資指数の変化(2001~2014年度予想)
<参考資料2> IT投資指数の変化(2001~2014年度予想)

出典:ITR「IT投資動向調査2014」

ビジネスの好・不調と相関するIT戦略

今年の調査では、自社のビジネスの現状を好調と認識する企業と不調と認識する企業との間で、IT投資意欲やIT戦略の方向性に違いがあることが浮き彫りとなりました。

まず、2013年度のIT支出から人件費を除いたIT投資額を、「定常費用(既存システムの維持、若干の機能拡張など)」と「戦略投資(新規システム構築、大規模なリプレースなど)」の2つに分け、両者の割合を確認した結果では、自社を好調と認識する度合いの高い企業ほど、戦略投資の比率が高い傾向が示されました。


<参考資料3> ビジネスの現状認識別に見る定常費用と戦略投資の内訳(2013年度)
<参考資料3> ビジネスの現状認識別に見る定常費用と戦略投資の内訳(2013年度)

出典:ITR「IT投資動向調査2014」

また、ITに関する主要18の戦略テーマの中から、重要性が高いと認識するものを1位から3位まで回答してもらった結果では、好調と認識する企業では「売上増大への直接的な貢献」や「顧客サービスの質的な向上」といったビジネス指向のキーワードが上位にランクされたのに対し、不調と認識する企業では、「業務コストの削減」「ITコストの削減」が重視されています。


<参考資料4> ビジネスの現状認識別に見る重視するIT戦略テーマの順位
(2013年度/重み付けポイントの合計値での比較)
<参考資料4> ビジネスの現状認識別に見る重視するIT戦略テーマの順位(2013年度/重み付けポイントの合計値での比較)

出典:ITR「IT投資動向調査2014」

2014年度に向けて最重要視するIT課題は4年連続で「IT基盤の統合・再構築」。ただし、重点項目は多様化

全19項目の主要なIT動向を取り上げ、その重要度を尋ねた結果では、「IT基盤の統合・再構築」が4年連続で最上位となり、2位も前年同様「ビジネスプロセスの可視化・最適化」でした。順位には大きな変化は見られませんが、上位と下位の重要度指数の差は縮まっており、企業の重点課題が多様化しつつあることがうかがえます。


<参考資料5> 主要なIT動向に対する重要度指数と実施率の変化
<参考資料5> 主要なIT動向に対する重要度指数と実施率の変化

出典:ITR「IT投資動向調査2014」

セキュリティ意識では、「外部攻撃の脅威」に対する警戒感が高まる

今回の調査では、情報セキュリティに対する設問を新たに追加し、支出の割合やセキュリティ・インシデントの重視度合い、主要なセキュリティ施策の実施状況についても分析を行いました。2014年度に向けて重視するセキュリティ・インシデントでは、重要度指数で首位となったのは「人為ミスによる情報漏洩・消失」でしたが、2位、3位はいずれも「外部攻撃」に関わるインシデントが入り、国際的に頻発する標的型サイバー攻撃に対する警戒感が高いことが明らかになりました。

特に、「金融・保険」「情報通信」「公共」といった業種では、「外部攻撃による情報窃取」に対する懸念が大きくなっています。


<参考資料6> 2014年度に向けて重視するセキュリティ・インシデント(重要度指数)
<参考資料6> 2014年度に向けて重視するセキュリティ・インシデント(重要度指数)

出典:ITR「IT投資動向調査2014」

景気との連動性が強まるIT投資。成長企業と非成長企業との間の温度差が拡大

今回の調査結果を受けて、ITRのシニア・アナリスト舘野真人は、「2013年度のIT予算は、昨年調査時の予想を大きく上回る増加率となり、リーマンショック以前の水準を回復しました。2012年12月に発足した安倍政権の経済政策により、特に大企業において景況感が改善された影響が大きいと見られます。しかしその一方で、景気とIT投資の連動性も強まっており、消費増税による景気の冷え込みが懸念される2014年度に向けて、現在の成長率が持続するかどうかは未知数です。また、今回の結果からは、自社のビジネスを好調と認識する企業とそうでない企業との間で、投資意欲の度合いやその目的や方向性が大きく異なっていることが確認されました。エンタープライズITを取り巻く技術が変革期を迎えている今、両者の温度差は、決定的な違いにつながる可能性があります」と分析しています。

調査の概要

本調査は、ITRが2013年10月16日から10月31日にかけて実施したもので、ITRの顧客企業や主催セミナーへの出席者、ならびにWeb調査の独自パネルメンバーのうち、国内企業の情報システム系および経営企画系部門の役職者3,000人に対して、アンケート用紙による記入もしくはWeb経由で回答を受け付けました。その結果、955人から有効な回答を得ました。

本調査結果の全結果および分析は、『国内IT投資動向調査報告書2014』としてITRのWebサイトを通じて先行予約販売を開始します。なお、同レポートの発刊は12月中旬を予定しています。

レポートの詳細は、以下のWebサイトに掲載しています。

https://www.itr.co.jp/report_library/s-14000200

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