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プレスリリース

低成長化が鮮明になった国内企業のIT投資
2013年度は大企業を中心に投資意欲に減速の懸念
ITRが「IT投資動向調査2013」の結果を発表

株式会社アイ・ティ・アール(ITR、代表取締役 内山悟志)は本日、国内企業を対象に2012年10月に実施した国内IT投資動向調査の一部結果を発表いたします。

2001年の調査開始から12回目を数える今回の調査では、国内企業のIT予算ならびに投資戦略が2012年度にどのような動きを見せたか、また、経済の減速懸念が再び高まるなかで2013年度に向けてどのような方向へ進もうとしているかに着目しています。さらに今回は、事業のグローバル化が多くの企業で課題となるなかで、その影響がIT投資戦略にどのような影響を与えているかについても分析しました。国内企業672社から有効回答を得ました。

安定も低成長にとどまった2012年度のIT投資

企業のIT予算に関する2012年度(2012年4月~2013年3月)の実績と、来る2013年度(2013年4月~2014年3月)の見通しについては、リーマンショック以降顕著となっているIT投資の低成長化が改めて確認されました。

まず、2012年度のIT予算の増減実績では、「増額した」と回答した企業の割合は25.5%と前年度(24.8%)から若干上昇した一方、「減額した」とした企業の割合も22.2%と前年度(20.5%)を上回りました。「20%以上の増額」となった企業の割合が前年度を上回ったことなどにより、総合的には2011年度実績を上回るプラス水準となったものの、大幅な成長には至っていません。

2013年度に向けた見通しでは、「増額」「減額」ともに回答割合が2012年度実績を下回り、その分「横ばい」とする企業の割合が上昇しています。


大企業で顕著となったIT予算の縮小傾向

IT予算の増減傾向を企業の売上高別に見ると、売上高が1,000億円を超える大企業において2013年度のIT予算がマイナス成長となる見込みです。産業界をリードする大企業でのIT投資の失速は、国内IT市場全体に大きなインパクトを与えると見られます。


<参考資料1> IT予算額増減の経年変化(2011~2013年度予想)
<参考資料1> IT予算額増減の経年変化(2011~2013年度予想)

出典:ITR「IT投資動向調査2013」

なお、このIT予算の増減傾向を指数化した「IT投資指数1」で見ると、2012年度の実績値は前年度より若干の上昇となり、「0.70」と前年調査時点での予測値とほぼ一致しました。ただし、プラス幅はごくわずかであり、成長率は低水準にとどまっています。一方、2013年度の予想値は2012年度の実績値を下降しており、今後に向けて投資意欲が減退することが懸念されます。

1 20%以上の減少を-20、横ばいを0、20%未満の増加を+10などとして積み上げて回答数で除した値


<参考資料2> IT投資指数の変化(2001~2013年度予想)
<参考資料2> IT投資指数の変化(2001~2013年度予想)

出典:ITR「IT投資動向調査2013」


2013年度に向けて最重要視するIT課題は3年連続で「IT基盤の統合・再構築」。新技術に対する重要度指数は低調

全19項目の主要なIT動向を取り上げ、その重要度を尋ねた結果では、「IT基盤の統合・再構築」が3年連続で最上位となり、他の項目を大きく引き離しました。前年調査で2位であった「仮想化技術の導入」は若干重要度が低下して3位へ、代わって「ビジネスプロセスの可視化・最適化」が前年の7位から浮上して2位となりました。クラウドやビッグデータ、ソーシャル・テクノロジといった新技術に関する重要度は中位から下位にとどまっており、いまだ主要な課題とは認識されていないことがうかがえます。


<参考資料3> 主要なIT動向に対する重要度指数と実施率の変化
<参考資料3> 主要なIT動向に対する重要度指数と実施率の変化

出典:ITR「IT投資動向調査2013」

グローバル化を推進する企業で課題となるITガバナンス

今回の調査では、国内企業にとって主要な経営課題となっている「グローバル対応」に関する設問を新たに設けました。その結果、すでに海外に自社や自社グループの拠点をもつ企業は36.9%に上り、今後に向けて拠点の設置を準備または検討している企業も10%に上ることが明らかになりました。このうち、「準備」「検討中」とする企業は、2013年度に向けてIT投資を積極的に行おうとする特徴が見られます。また、海外拠点を設置済みの企業では、業務やシステムのグローバル規模での標準化が大きな課題となっています。

ただし、海外拠点を設置済みの企業に対してIT予算の地域別の配分を問うたところ、売上比率の大きい国・地域にIT予算が重点的に配分される傾向があることも明らかになりました。したがって、今後のグローバル化の進展に伴い、IT予算の投下先が国外へとシフトすることが懸念されます。


<参考資料4> 海外拠点の設置状況
<参考資料4> 海外拠点の設置状況

出典:ITR「IT投資動向調査2013」


<参考資料5> グローバルITガバナンスの計画状況
<参考資料5> グローバルITガバナンスの計画状況

出典:ITR「IT投資動向調査2013」

懸念される国内IT市場の縮小。IT部門には資源の最適配分ための権限強化が求められる

今回の調査結果を受けて、ITRのシニア・アナリスト舘野真人は、「2012年度は低水準ながら成長が見られた国内企業のIT投資ですが、2013年度に向けては多くの指標がマイナス傾向を示しており、投資意欲の減退が懸念されます。とりわけ大企業でIT予算の減額を見込む企業が急増していることは気がかりです。また、今回の調査結果からは、グローバル化の推進に伴ってIT予算の投下先も国外へと流出する可能性が大きいことが示されました。これからの企業のIT投資戦略においては、“何に投資するか”に加えて“どこに投資するか”がより厳密に問われることになるでしょう。企業のIT部門にとっては、全社最適の視点でITリソースの配分が行えるような権限と能力を手に入れることが急務であると言えます」と分析しています。

【調査の概要】

本調査は、ITRが2012年10月22日から11月2日にかけて実施したもので、ITRの顧客企業や主催セミナーへの出席者、ならびにWebの専用パネルのうち、国内企業の情報システム系および経営企画系部門の役職者3,000人に対して、アンケート用紙による記入もしくはWeb経由で回答を受け付けました。その結果、672人から有効な回答を得ました。

本調査結果の全結果および分析は、『国内IT投資動向調査報告書2013』として2012年12月5日より ITRのWebサイトを通じて先行予約販売を開始いたします。なお、同レポートの発刊は12月25日を予定しています。

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