1. TOP
  2. 新着情報
  3. ITRがクラウド/アウトソーシングに関する動向調査の結果を発表

プレスリリース

ITアウトソーシングの推進を計画する国内企業の9割が“クラウドを重視”
理想の形態は「自在性と拡張性を備えたプライベート・クラウド」
ITRがクラウド/アウトソーシングに関する動向調査の結果を発表

株式会社アイ・ティ・アール(ITR、代表取締役 内山悟志)は本日、国内企業の情報システム部門/経営企画部門の所属者を対象に実施した「クラウド/ICTアウトソーシング動向調査2012」の結果を発表いたします。

本調査では、進境著しいクラウドサービスを、中堅ならびに大規模(従業員数500人以上)の国内企業がITアーキテクチャ、ITアウトソーシングなどの戦略においてどのように位置づけているのか、また具体的な移行のプロセス、優先順位についてどのようなビジョンをもっているか、について着目しました。

「クラウドサービスの積極活用」を目指す企業の割合は75%超
 「アウトソーシング指向」の企業に限れば、その割合は90%を超える

今後に向けたIT戦略の方向性として「クラウドサービスを積極的に活用していくべきだと考えている」とした回答者は77.8%に上り、全体の4分の3を超える結果となりました。中堅以上の企業において、次世代IT基盤の選択肢としてクラウドが完全に定着していることがあらためてうかがえる結果となりました。特に、今後に向けて「アウトソーシングを積極的に推進する」とした回答者に限れば、実に90.1%がクラウドの活用に前向きな姿勢を示しており、IT資産の最適配置、運用業務の効率化といったアウトソーシングの観点からも、クラウドサービスが有力な選択肢として位置づけられていることが顕著に示されました(図1参照)。


図1.クラウドサービスの活用方針
クラウドサービスの活用方針

出典:ITR「クラウド/ICTアウトソーシング動向調査2012」

基幹系アプリケーションも今後はクラウドが主流に
「プライベート・クラウド」と「運用アウトソース」の組み合わせが進む

主要アプリケーション別にシステム構築の形態を問うたところ、すべてのアプリケーション分野で、将来に向けクラウドへの移行が進む傾向が明確に示されました。現在は6割から7割が非クラウド型で構築されている基幹系アプリケーションについても、今後の計画ではクラウド型での構築を希望する企業が軒並み半数を超えています。

また、具体的な構築手法としてはプライベート・クラウドを指向する企業が多く、パブリック・クラウドを大きく上回りました。なかでも、「プライベート・クラウド+運用アウトソース」の組み合わせを望む企業は今後に向けて大きく増加しており、システム構築における独自性・自在性は確保しつつも、運用業務を効率化したいとのニーズが高まっていることがうかがえます(図2参照)。

図2.アプリケーション分野別に見るシステム構築形態
アプリケーション分野別に見るシステム構築形態

出典:ITR「クラウド/ICTアウトソーシング動向調査2012」


既存システムのクラウド移行は、仮想統合後にクラウド化する“慎重派”が多数しかし、“クラウド・ファースト派”も一定数を占める

既存システムをクラウド化するうえで具体的にどのような手順を踏むかを尋ねた設問では、「物理環境にあるシステムを仮想統合したうえでクラウド化する(P2V2C)」が22.4%で最多となり、「未統合の仮想システムを統合したうえでクラウド化する(V2V2C)」(13.5%)、「仮想統合されているシステムをクラウド化する」(6.6%)と、合わせて40%以上が「仮想統合」という手順を踏んだ後にクラウド化する方針であることが示されました(図3参照)。仮想化技術は、クラウド化を実現するステップの1つとしても引き続き重視されると見られます。

その一方で、こうした手順を踏まない“クラウド・ファースト派”も一定数存在しており、なかでも「システム再構築によってクラウド化する」とした回答者は21.2%に上りました。


図3.クラウド化へ向けた移行手順
クラウド化へ向けた移行手順

出典:ITR「クラウド/ICTアウトソーシング動向調査2012」


クラウド化は自社所有システムから。手の内に入れたシステムを優先

どのような構築・運用形態のシステムからクラウド化に着手するかという優先順位に関する設問では、「自社センターに設置され、自社で運用するシステム」をあげた回答者が31.8%で最多となり、「外部センターに設置されたシステム」を上回りました。また、外部センターに設定しているシステムの中でも、ハウジング(自社所有)のシステムから優先的にクラウド化する意向であるとの傾向が示されました(図4参照)。


図4.クラウド化に際して優先するシステム
クラウド化に際して優先するシステム

出典:ITR「クラウド/ICTアウトソーシング動向調査2012」

データセンターに求められる拡張性への対応

本調査では、今後のクラウド時代に向けてデータセンターに対する要件も厳しさを増すことが予見される結果も示されました。特に、クラウドを積極的に活用したいと考える企業においては、「データセンター内」はもとより「複数データセンター間」においても、柔軟なリソース増強(配分)やデータ移行/バックアップへの対応を求める傾向が表れており、高い拡張性を備えたデータセンター・サービスを優先して選定する動きが強まると見られます(図5参照)。


図5.データセンターに必要と考える機能

出典:ITR「クラウド/ICTアウトソーシング動向調査2012」

アウトソーシング事業者に求められるクラウド対応力

一方、アウトソーシング事業者に対しても、今後はクラウドへの対応力が厳しく問われることになると見られます。本調査で、「クラウドサービスを積極的に活用する」とした507人に対して、アウトソーシング事業者に求める能力について問うたところ、クラウドへの対応力を重視するとした回答が多数を占めました。とりわけ、「コンサルティング・サービス」「移行サービス」「プライベート・クラウド・サービス」については重視される傾向が強いことが示されました(図6参照)。


図6.アウトソーシング事業者に求めるクラウド戦略(クラウド推進派の507件が対象)

出典:ITR「クラウド/ICTアウトソーシング動向調査2012」

中長期的なアーキテクチャ戦略に組み込まれつつあるクラウド事業者には、上流の戦略づくりから移行、運用に至るまで広範囲なサポート体制が望まれる

今回の調査結果を受けて、ITRのシニア・アナリスト舘野真人は、「今回の調査結果からは、自社におけるIT資産の最適配分や統合化の促進、運用業務の効率化といった幅広い視点から、クラウドサービスに高い期待が寄せられていることが確認されました。今後は『どのサービスを利用するか』というマーケット主導型での選択だけでなく、『自社としてどのようなIT環境を実現したいか』という戦略的アプローチでクラウドを選択する企業が増加するでしょう。

また、プライベート・クラウドに対する導入意欲が高い背景には、機能の自在性やサービスレベルの制御力を手に入れたいというIT部門の強い願望が反映されています。したがって、資産の所有や運用業務にかかる負担を軽減しつつも、ユーザー自身の手でコントロールが可能な柔軟性を備えるクラウドサービスが評価されるでしょう。なお、クラウドへの移行に際して段階的な手順を踏むことを重視する企業が多いことから、事業者には、強固なインフラ環境を備えるだけでなく、戦略づくりからシステムの移行作業、本稼働後の運用業務に至るまで、広範囲なサポート体制を整備することが望まれます」と述べています。

【調査の概要】

本調査は、ITRが2012年6月8日から11日にかけて実施したもので、外部のアンケート・パネルを利用して、国内企業の情報システム系および経営企画系部門に所属するクラウド戦略策定の関与者を対象に、Web経由で回答を受け付けました。その結果、652件の有効回答を得ました。

TOP