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プレスリリース

東日本大震災の影響により、国内企業の3分の1が今年度IT予算の見直しに着手
今後のIT投資意欲は弱含みも、プロジェクトの中止・停止は一部にとどまる
「企業IT利活用動向調査」の速報を発表

株式会社アイ・ティ・アール(ITR、代表取締役 内山悟志)は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC、会長:牧野力)からの依頼に基づき、国内企業500社を対象に実施した「企業IT利活用動向調査」の一部結果を本日、速報として発表いたします。

調査結果では、東日本大震災の影響により、国内企業のIT投資戦略に変化が生じていることが明らかになりました。

震災によりビジネス上の被害を受けた企業は3分の2

震災によるビジネス被害状況については、「影響がなかった」とした回答者は全体の33%にとどまり、3分の2の企業は影響を受けたと回答しました。「本社もしくは重要拠点が被災」した企業は5%強でしたが、「自社拠点の一部が被災」した企業は26%に上っています。また、「調達先の被災により、事業が遅延(22.8%)」、「納入先の被災により、売上げを逸失(12.8%)」など、取引先の被災によってビジネスが停滞した企業もかなりの割合に上っています。特に取引先の被災による影響は、東日本の企業だけでなく西日本の企業にまで広く及んでいます。


<参考資料1> 国内企業の被災による影響(有効回答:500件)

出典:「企業IT利活用動向調査2011」JIPDEC/ITR

2011年度IT予算の見直しは、実施済みが13%、今後実施予定が23%

震災発生が、2011年度が始まる直前の時期であったことから、本調査ではすでに多くの企業で決定されていた今年度のIT予算の見直し状況についても尋ねました。その結果、「実施済み」とした企業は13%、「今後実施予定」とした企業は23%でした。見直しの方向性については減額を予定する企業が増額を上回り、影響範囲は限定的ながら投資意欲がわずかに下降している様子がうかがえます。また、今後実施を予定している企業のほうが、投資意欲が後退していることも注視すべき傾向です。


<参考資料2> 2011年度IT予算の見直し状況(有効回答:500件)

出典:「企業IT利活用動向調査2011」JIPDEC/ITR


「経営・事業の立て直し」が最優先。ITプロジェクトの中止・停止は限定的

震災発生後に各企業でどのような施策が実施されているかを尋ねた結果では、「全社的な経営計画の見直し・再検討」「個別の事業計画の見直し・再検討」といった経営や事業に直結する項目の実施率が高く、それぞれ20%を超える企業が実施済みであると回答しました。また、被災や停電対応を目的とした「事業拠点の見直し・変更」「取引先、サプライチェーンの見直し・変更」についても、15%以上の企業が実施済みとしています。

これに対して、ITにまつわる施策は今後実施予定とする企業が多く、多くの企業がビジネスの立て直しに重きを置いた対策をとっていることがうかがえます。

なお、「ITプロジェクトの中止」といったネガティブな施策については、実施する企業が一部にとどまる見通しです。


<参考資料3> 2011年度IT予算の見直し状況(有効回答:500件)

出典:「企業IT利活用動向調査2011」JIPDEC/ITR

IT支出額の影響は短期的には軽微。ディザスタ・リカバリの強化、データセンター移転などIT施策の本格化はこれから

今回の調査結果を受けて、ITRのシニア・アナリスト舘野真人は、「東日本大震災のビジネスに対する影響は、東北・関東の企業だけでなく西日本も含めた広範の企業に及んでいます。そうした被害の大きさを考慮すれば、IT支出に対する影響は短期的には比較的軽微であると見られます。ITプロジェクトの中止・停止に踏み切る企業が少ないのも好材料であるといえます。また、現時点では、全社的な経営計画や個別事業計画の立て直しが企業における喫緊の課題となっており、情報システムのディザスタ・リカバリ対策の進展やデータセンターの移設、強化といったITに関わる施策が本格化するのはこれからであると考えられます。ただし、今後に向けてIT投資意欲が減退傾向を示していることも事実であり、中長期的なIT投資への影響は予断を許さない状況にあります」と分析しています。

本調査について

本調査は、JIPDECからの依頼に基づき、JIPDECとITRが2011年5月20日から25日にかけて実施したものです。調査は、Web調査会社のモニタに対するアンケート方式で行い、国内企業の経営者や情報システム系および経営企画系部門の役職者6,095人に対して回答を依頼し、500件の有効回答を得ました(回答率:8.2%)。
調査内容は、今回発表した東日本大震災に関連する動向だけでなく、主要なIT施策の実施状況や業務アプリケーションの導入・強化計画、IT人材育成の取り組み状況、情報セキュリティ対策の実施状況など、企業ITの利活用実態について広範にわたる調査を実施しています。
調査結果の詳細は、JIPDECが2011年10月に発刊予定の『情報化白書2012』に掲載され、翔泳社より発売される予定です。

JIPDECについて

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC )は、情報処理方式及び情報処理産業の開発、振興により情報化の発展を図ることで、日本経済の発展に寄与することを目的に、1967年に設立された公益法人である(旧)日本情報処理開発協会を前身とし、2011年4月1日付で新公益法人制度に沿った一般財団法人へ移行するとともに、組織名称を変更しました。JIPDECは、電子情報利活用基盤の整備、安信簡情報環境の整備、電子署名・認証制度の普及、個人情報保護体制の推進、情報マネジメント推進のための認定制度の運営、電子情報利活用の促進に関する普及啓発および広報などを行っています。
URL:http://www.jipdec.or.jp/

ITRについて

株式会社アイ・ティ・アール(ITR)は、ビジネスとITに関する問題解決を提供する独立系のIT調査・コンサルティング会社です。企業のIT戦略に関するコンサルティングを提供するほか、IT関連のベンチマーク、ROIと効果の最適化、戦略的なデータ活用、ベンダー/製品の評価と選択、事業戦略とマーケティングの支援、ITの将来動向などの分野に関する調査・分析を行っています。2000年からは毎年、国内企業の情報システム責任者に対する『IT投資動向調査』を実施しています。ITRは1994年に設立、東京に本社を置いています。
URL:https://www.itr.co.jp/

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