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プレスリリース

下落傾向に歯止めがかかった国内企業のIT投資
2011年度のトレンドは「IT基盤の構造改革」
ITRがIT投資動向調査の速報を発表

株式会社アイ・ティ・アール(ITR、代表取締役 内山悟志)は本日、国内企業を対象に2010年9月から10月にかけて実施した国内IT投資動向調査の一部結果を速報として発表いたします。

本調査では、経済不況の打撃から落ち込んだ国内企業のIT投資が2010年度にどのような動きを見せているか、また2011年度に向けてどのような方向へ進もうとしているかについて着目しています。

回復へ向かう国内企業のIT投資

本調査では、企業のIT予算に関する2010年度(2010年4月~2011年3月)の実績と、来る2011年度(2011年4月~2012年3月)の見通しについて、国内企業3,000社に回答を求めました(有効回答:446社)。

前回実施した2009年度調査では、経済不況の影響によりIT予算が調査開始以来初の大幅なマイナス成長となりましたが、2010年度のIT予算の増減実績は、「増額した」と回答した企業が24.9%(20%以上の増加:7.2%、20%未満の増加:17.7%)と、2009年度から8ポイント以上上昇しました。一方、「減額した」とする企業は26.6%(20%以上の減少:4.9%、20%未満の減少:21.7%)と、2009年度調査から20ポイント近く下降し、投資意欲は着実に回復していることがうかがえます。しかし、依然として減額の企業のほうがわずかながら上回っており、かつてのような成長路線に戻ったとまでは言い切れません。

2011年度の増減見通しについては、IT予算の増額を見込む企業の割合が29.3%とさらに上昇していることから、2010年度よりも楽観的な見方をしている企業が増加しています。


<参考資料1> IT予算額増減の経年変化(2009~2011年度予想)
<参考資料1> IT予算額増減の経年変化(2009~2011年度予想)

出典:「IT投資動向調査2011」ITR

なお、このIT予算の増減傾向を指数化した「IT投資指数」で見ると、2010年度の実績値は2009年度に記録した「-3.80」から飛躍的に回復して「0.04」とプラスに転じ、2009年度調査における予測値(-0.98)を上回る水準となりました。これは、経済不況からの回復スピードが予想以上に速かったことを反映していると考えられます。2011年度の予想値は「1.44」と2010年度の実績値からさらに上昇しており、企業のIT予算額は再び上昇機運を描きつつあります。


<参考資料2> IT投資指数の変化(2001~2011年度予想)
<参考資料2> IT投資指数の変化(2001~2011年度予想)

出典:「IT投資動向調査2011」ITR


2010年度のIT予算の対売上高比率は再び上昇

企業の売上高に占めるIT予算比率は、2010年度は2009年度を0.2ポイント上回る2.8%でした。3年連続で続いていた下落傾向に歯止めがかかり、再び上昇に転じました。

2011年度に向けて重視する IT動向は「統合」と「仮想化」

全20項目の主要なIT動向のうち、ここ数年重要度指数はトップであった「日本版SOX法などの法令対策/内部統制の強化」を押さえて、2011年度は「IT基盤の統合・再構築」と「仮想化技術の導入」が上位2つにあがりました。「IT基盤の統合・再構築」の実施率は現在の22.3%から、2013年度までに72.1%の企業が実施を予定しています。一方、「仮想化技術の導入」は、現時点でも42.6%と高いにもかかわらず、重要度指数が前年の調査の数値(2.9)をも上回る3.2となり、企業において不可欠な技術となりつつあるといえます。また、「IFRSへの対応」も、2009年度調査(2.6)から3.0へと重要度指数を上昇させています。


<参考資料3> 主要なIT動向に対する重要度指数と実施率の変化
<参考資料3> 主要なIT動向に対する重要度指数と実施率の変化

出典:「IT投資動向調査2011」ITR


2011年度のトレンドは「IT基盤の構造改革」。その成否が企業成長の鍵を握る

今回の調査結果を受けて、ITRのシニア・アナリスト舘野真人は、「IT戦略上重視するキーワードとして「統合」や「仮想化」といった、IT基盤の構造改革につながる施策が上位を占めたのが今年の調査の大きな特徴です。リーマン・ショック後の経済不況に対応すべく「目先のコスト削減」が最優先された2009年度を経て、2010年度から2011年度にかけては、中長期的な視点でIT基盤のスリム化やガバナンス強化に取り組む企業が増加するでしょう。柔軟かつ強固なIT基盤を手にしておくことは、不確実性が高い今日の経済環境下においては不可欠な課題となります。この地道な課題を着実に前進させることができるかどうか。日本企業が新たな成長戦略を描くうえで、IT部門が果たすべき使命は極めて重いと考えます」と分析しています。

【調査の概要】

本調査は、ITRが2010年9月15日から10月12日にかけて実施したもので、ITRの顧客企業ならびに主催セミナーへの出席者などのうち、国内企業の情報システム系および経営企画系部門の部長級相当の役職者3,000人(1社1人)に対して、アンケート用紙による記入もしくはWeb経由で回答を受け付けました。その結果、446社から有効な回答を得ました。

本調査結果の全結果および分析は、『国内IT投資動向調査報告書2011』としてまとめ、 2010年12月よりITRのWebサイトを介して販売する予定です。

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