独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:三浦 元裕、以下「ITR」)は、国内のAIOps/運用自動化市場の提供形態別市場規模推移および予測を発表いたします。
2024年度のAIOps/運用自動化市場の売上金額は86億4,800万円、前年度比19.8%増の高い伸びとなりました。2025年度も引き続き同18.9%増と高い成長を見込んでいます。近年、システムの大規模化と複雑化により、運用要員の負荷拡大が課題になっています。この課題解決に効果的な製品・サービスとして、AIOps/運用自動化への注目が高まっています。AIOps/運用自動化は、運用の効率化だけではなく、データ分析による意思決定の最適化にも寄与します。特に、AIを活用した異常検知や予知保全の技術は、トラブルの未然防止に効果を発揮するため、今後さらに導入が加速するとみられ、同市場のCAGR(2024~2029年度)は運用管理市場の14分野の中で最も高い20.4%を予測しています。
AIOps/運用自動化市場をパッケージとSaaSの提供形態別に分類すると、SaaS市場の2024年度の売上金額は前年度比28.2%増と急速な成長により約42億円に拡大し、2025年度にはパッケージ市場を上回ると予想されます。パッケージ市場のCAGRは14.6%であるのに対し、SaaS市場は25.5%と非常に高い伸びにより2029年度には130億円に達すると予測しています。
※本調査におけるAIOps/運用自動化は、システム運用プロセス(障害対応、プロビジョニング、構成管理、ソフトウェア配布など)を自動化する製品・サービスを指します。運用手順書を自動実行するRBA(Run Book Automation)、インフラの構成管理を自動化するIaC(Infrastructure as Code)、AI/機械学習を使用して運用の自動化を支援するAIOpsプラットフォームが含まれます。
ITRのシニア・アナリストである入谷 光浩は、「長年、システム運用の現場は、業務負担の増加、運用コストの増加、運用プロセスの属人化という三重苦を抱えてきました。AIOpsは、これらの課題を抜本的に解決するための不可欠なソリューションとして急速に導入が拡大しています。今後は、生成AIの進化によりAIOpsの能力がさらに高度化していくでしょう。単なる運用作業の効率化や自動化にとどまらず、システム障害などの問題解決の支援や、ナレッジ活用によるスキル平準化など、その活用範囲は飛躍的に拡大していくとみられます。企業のIT部門は、AIOpsを積極的に導入・活用することで、運用の三重苦から早期に脱却し、より高度で付加価値の高い運用体制へと進化させていくことが求められます」とコメントしています。
調査概要
今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート『ITR Market View:運用管理市場2025』に詳細を掲載しています。同レポートには、運用管理市場の全14分野を対象に、国内52ベンダーへの調査に基づいた2023~2024年度売上げ実績および2029年度までの売上げ予測を掲載しています。