不確実性の高い現在のビジネス環境において、過去の成功モデルの踏襲や長期予測に基づく経営は限界を迎えている。変化の速度が圧倒的に速く、予測の前提が不確実である以上、精緻な分析に基づく予測頼りのビジネスはもはや成り立たない。本稿では、AI技術を活用した短サイクルでの意思決定と迅速な軌道修正を可能にする「AI駆動OKRループ」をコンセプトとした、次世代の経営ダッシュボードの構築を提言する。
企業経営においてKPIやダッシュボードを活用した経営管理の重要性が高まる一方で、成果評価や改善活動の羅針盤としてそれらが十分に機能するケースは限られる。経営ダッシュボードは、企業の状況を詳細かつ俯瞰的に把握し、横断的な業績を評価・管理するためのツールとして多くの企業に定着している。現在は、MBO(Management by Objectives:目標管理制度)やOKR(Objectives and Key Results:目標と主要な結果)、あるいはその両方を適宜使い分ける傾向にある。かつて注目された経営管理手法としてBSC(Balanced Scorecard)があったが、複雑かつ硬直的で軌道修正も困難であることなどから、変化が激しく不確実性の高い現代の経営の舵取りには適さないと評価する企業が多い。BSCは、中長期的な経営の戦略性の検証や補完という、当初の目的とは異なる用途での活用はあり得る(ITR Review『AI技術によるマイクロエンタープライズ』R-225093)。
しかし、多くの企業が構築している経営ダッシュボードは、月次や四半期ごとの財務諸表を単にグラフ化したいわば「バックミラー型」が多いのではないだろうか。そのようなダッシュボードは、確定した過去の結果を確認するには適しているが、将来の不確実性に対処するための「次の一手」を示唆するものではない。