ITR Review『国内企業におけるPPAPの現状(前編)』(R-224083)では、国内企業においては依然としてPPAPを利用したメール送信が多く見られ、受信側でもPPAPの対応が進んでいない現状を示すとともに、PPAPの利用によるセキュリティリスクについて解説した。後編となる本稿では、PPAPの代替ソリューションの選択肢と、それらを導入検討する際の留意点について説明する。
PPAPは誤送信防止と情報漏洩防止を目的としたソリューションであり、その代替ソリューションはこれらの目的を満たす必要がある。ITRでは、2024年1月に日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)と共同調査を行い、企業が外部に電子メールでファイルを送付する際に、PPAP以外で採用している(採用を予定している)手段について回答を得た(図1)。クラウドストレージサービスを利用(予定)している企業が過半数を占めて最多となり、続いてファイル転送サービスが3分の1の企業で利用されていることがわかった。
図1で上位にあがったクラウドストレージサービスおよびファイル転送サービスの2つについて、メリットとデメリットを図2にまとめた。クラウドストレージサービスは、ファイル送付/共有以外の用途にも、ファイルサーバなどに汎用的に利用できるという特徴を有している。これに対して、ファイル転送サービスは、ファイル送付/共有に特化したサービスであることから、操作性に優れている。サービス導入をする際は、PPAPの代替としてだけでなく、他業務への展開も一考のうえ、適切なソリューションを選択されたい。