カオスエンジニアリングは、クラウドネイティブ・アプリケーションだけに有効な手法ではない。既存のモノリシック・アプリケーションや組織にも適用可能な革新的なアプローチである。
Netflix社のカオスエンジニアリング実行環境を図1に示した。同社が独自開発したカオスエンジニアリングのコアが、ChAP(Chaos Automation Platform)と称するサービスである。ChAPでは、障害につながる可能性のある「実験」という名の複数イベントを自動的に発生させ、Netflixサービスのフロントドア(サービスの入り口)にアクセスしたり、CD(Continuous Delivery/継続的デリバリ)経由でAWSに対して同社が利用中のインスタンスを停止または障害を発生させる。
これらのイベントによって、どのような状況に陥るのかをリアルタイムに監視し、実サービスの可用性や品質が損なわれることがないかをチェックする。このような高度に自動化された環境を独自に構築することにより、同社はカオスエンジニアリングを実現したのである。