レガシーアプリケーションの将来像として最も有望なのはクラウドネイティブへの再構築である。しかし、その道程は非常に長い。クラウドネイティブへの再構築の間にも、レガシーアプリケーションの利用者からは機能追加や修正の要求が常に発生するため、その保守運用における変革が求められている。レガシーアプリケーションへのアジャイル適用は、技術的な困難や制約も多いが、部分的なアジャイル適用でも成果が期待できる。
DXやビジネスイノベーションに貢献するアプリケーションを構築運用するためには、クラウドネイティブ・アプリケーションを目指すべきであり、IaaSのようなクラウドを仮想サーバの代替として活用するだけでは、現在アプリケーションに求められている「先進テクノロジを含む新規機能の活用」「機能追加や要求変化への柔軟な対応」「スピードとアジリティ」を実現することは困難である(ITR Insight 2020年夏号『クラウドネイティブ・アプリケーションの価値と構築指針』#I-320073)。
ITRのクラウドネイティブ・アプリケーションの定義は、「マイクロサービス・アーキテクチャ」「迅速インテグレーション/デプロイ」「迅速プロビジョニング」「自動スケーラビリティ」「自動冗長化」を満たすアプリケーションである。Google社、Amazon.com社、Facebook社、Netflix社などの先進企業では、このような先進的アプリケーションを駆使することによってグローバル規模で急成長するイノベーティブなビジネスを推進している。