近年、業務改革を支援するためのツールとしてプロセスマイニング/タスクマイニングが注目されている。ファクトデータを基に業務の問題点を特定できることから、従来型の業務分析に代わる手段として期待されている。この技術は、今後、デジタル時代の組織運営を支える基盤となる可能性がある。
業務改革において、現状業務の可視化・分析は不可欠な取り組みである。しかしながら、複数の拠点や部門にまたがって日々遂行されている業務の実態を正確に把握することは容易ではない。担当者に事業や業務に対する深い知見が求められるうえ、ヒアリング・記述・分析といった作業にかかる工数も膨大なものとなるためである。
そうしたなか、業務分析の新たな手法として近年注目されるようになったのがプロセスマイニングである。これは、データマイニング技術を応用してERPやCRMなどの業務システムが生成するログデータ(トランザクションデータ)を解析し、業務プロセスの処理パターンを動的に可視化するものである。時系列でつながったファクトデータから、業務の流れをプロセスモデルとして描き出すことができるのが最大の特徴だ。このコンセプト自体は約20年前に登場したものだが、昨今のマイニング技術の進化や、RPA(Robotic Process Automation)の登場による業務の自動化ニーズの高まりなどを背景に、効率化すべき業務を特定するための手段として認識されるようになった。
現在、プロセスマイニング・ツールとして提供されている製品・サービスは、おおむね以下のような機能を備えている。
プロセスマイニングを活用することで、企業は、取り除いても支障のない無駄な業務を見つけたり、リードタイムを長引かせるボトルネックを発見したりすることができる。また、業務効率のばらつきや、コンプライアンス上のリスクを孕む逸脱プロセスの特定も可能だ。その意味で、プロセスマイニングは、単に一時的な業務のスナップショットを記録するだけでなく、いわゆる業務の「3M(ムダ・ムリ・ムラ)」を科学的かつ定量的に把握することを可能にする手法であるといえる。