デジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれる中、DXに向けた投資の可否判断やプロジェクト案件の遂行管理のあり方についても見直しが迫られている。従来のコスト削減や業務効率化を目的とした案件ではなく、変革や創造を伴う案件に対する新たな投資評価やプロジェクト管理の枠組みが求められている。
昨今のAI、IoTに代表されるデジタライゼーションへの取り組みやデジタルビジネス創出に向けた、いわゆるDX案件は、すぐに効果が表れるとは限らず、また確実にリターンが得られるとも限らない。ある意味、未知への挑戦であり、不確実性の高い投資となるため、そもそもROI(投資対効果)という考え方がそぐわない一面もある。こうしたDX案件への投資には、起案当時者の強い意志と経営レベルのコミットメントが必要である。したがって、単なる「支出」ではなく、まさに意図を持った「投資」と捉えることが求められる。KPIや目標の設定においても、そもそも現状を測定することが困難なものもあり、ありたい姿についても実現可能性や市場性などに対する想定を含んだものとならざるを得ない場合がある。したがって、そうした想定や不確実性を加味して、適宜軌道修正を行いながら柔軟な判断ができるような新たな投資評価と案件遂行の枠組みが必要となる(ITR Insight 2017年夏号「攻めのIT投資の評価と管理」#I-317071)。