デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にあたっては、具体的なDXの実践に加えて、意識、組織、制度、権限、人材といった多岐にわたる環境整備と企業内変革が求められる。本稿では、調査結果を基に国内企業におけるDX環境整備の取り組み状況を紹介する。
ITRでは、2019年6月に従業員1,000名以上の企業を対象に「デジタルトランスフォーメーション(DX)成熟度調査」を実施し、国内企業におけるDXに向けた環境整備の状況について321社から回答を得た。「意識」「組織」「制度」「権限」「人材」の5つの企業内変革分野について、それぞれ代表的な10個の施策への取り組みや現在の状況を問うている。
まず、DXに向けた意識では、経営者、事業部門およびIT部門におけるデジタル技術の活用やイノベーションの重要性に関する認識を問うたところ、経営者の意識が最も高く、次いでIT部門、事業部門の順となった(図1)。
3者ともに重要性への認識は概ね8割程度と高いものの、経営者による社内外への訴求、事業部門における変革への抵抗感のなさ、IT部門の積極性、および社内啓発などの実施状況はやや低い傾向が見られた。