2018年6月、経済産業省より企業の戦略的IT利活用の促進に向けた取り組みの一環として「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」が公表された。本稿ではこのガイドラインのデータ編で整理された3つの契約類型を紹介し、そのうちのデータ提供型契約を中心に解説する。
2018年6月15日、経済産業省により「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」(以下、ガイドライン)が公表された。AI編とデータ編で構成され、AI編は、AI技術の特性と探索的段階型の開発方式(ITR Review 2018年10月号「AIの利用に関する契約ガイドラインの要点」#R-218102)や、AI開発における契約形態の特徴(ITR Review 2018年11月号「AI開発における契約交渉のアプローチ」#R-218111)などが論点となっている。もう一方のデータ編は、データの流通や利用を対象とする契約を結ぶ際、その段階ではデータの価値がはっきりしないことが多いため、契約条項の考慮点を明示することで契約締結の作業負荷を軽減させ、データ契約(データの利用、加工、譲渡その他取り扱いに関する契約)の普及やデータの有効活用を後押しすることを目的に作成している。本稿では、データ編で示された3つの契約類型を紹介し、そのうちのデータ提供型契約を中心に解説する。