国内におけるソフトウェアライセンス監査事例が増えつつあり、ソフトウェアライセンス管理体制の高度化を求める動きが活発化している。本稿では、国内大企業を対象とした調査を基に、ソフトウェアライセンス監査の影響を可視化して紹介する。
ソフトウェアライセンス監査とは、ソフトウェアベンダーやソフトウェアライセンスの業界団体が、ユーザー企業に対してソフトウェアライセンスの利用が適切であるかを検査することを指す。日本企業は正規のソフトウェアライセンスを購入する率が高い傾向にあり、諸外国と比較すればソフトウェアライセンス違反が少ないといわれている。このため、ソフトウェアベンダーや一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)、ザ・ソフトウェア・アライアンス(BSA)などの業界団体による監査は多くないという意見が聞かれる。
ソフトウェアライセンス監査の結果として、ソフトウェアライセンスの不適切な利用が発見され、ソフトウェアベンダーから違約金が請求されれば、企業に与える影響は多岐に渡る。しかしながら、ソフトウェアライセンス管理の難しさが増している状況下(ITR Review 2016年4月号「ソフトウェアライセンスの管理方法」#R-216043)にあり、万が一違約金が請求される可能性があるというだけでは、企業全体としてソフトウェアライセンス管理高度化の対策を講じる根拠としては乏しいと見る向きもあろう。そこで、ITRでは、ソフトウェアライセンス監査が行われた際の影響を可視化すべく、2016年4月に「国内におけるソフトウェアライセンス監査実態調査」を実施した。