システム障害記録は、障害対応時の復旧知識として役立てることが基本的な役割であるが、障害の傾向を分析し、システム障害の発生確率を低減する措置のための情報として活用することもできる。本稿では、システム障害記録を組織的に活用する方策について考察する。
システム障害記録とは、システム障害に関わる情報を蓄積した記録のことで、一元的にシステム障害状況を把握することができる情報を指す。作成したシステム障害記録は障害記録簿として活用することができ、障害が発生したときには、過去に発生した類似する障害から対応方法などを参照し、障害対応の復旧知識として役立てることが基本的な役割である。実際、障害が発生している最中は、障害の復旧が最優先であることから、「いつ、誰が、何を、どのように対応」したかを記録することの優先度は下がる傾向にある。しかし、障害記録の価値はそれだけにとどまらない。障害対応以外に創出しうる価値と、記録しながら障害復旧させるうえでの体制作りの重要性について明らかにしたい。