ソフトウェアライセンス管理は、関与している部署が多いため、IT資産管理者が必要な情報を正しく把握することが難しい。これを実現するためにはIT部門内でソフトウェアライセンスについての共通認識を持ち、情報提供の協力体制を構築することが必須である。本稿では、複雑化するライセンス体系を整理し、注意すべきポイントを解説する。
ソフトウェアライセンスとは、ソフトウェアの利用条件と価格設定のための使用量のカウント方法などをまとめた契約のことだ。ソフトウェアライセンスの管理が不適切な場合、ソフトウェアライセンス違反による追徴金の請求、ソフトウェアライセンスの過剰な購入、高額なソフトウェア保守費の支払いなどの問題が発生する(ITR Review 2015年11月号「戦略施策としてのソフトウェア資産管理」 #R-215111)。
しかし、こうした問題の対策を講じているかについて、IT資産管理者と意見交換をすると、懸念事項は次々と上がるものの、効果的な打開策を打ち出せずにいることが多い。
その理由は、ソフトウェアライセンス体系が複雑でわかりづらく、正しい管理方法を確立できていないからである。PC資産であれば、インベントリ検出ツールで必要な情報を収集し管理すべき対象を整理できる(ITR Insight 2014年秋号「PC資産管理のトレンド」 #I-314102)。しかし、ソフトウェアライセンス管理においては、このインベントリに適合するライセンス体系を紐づける必要がある。この工程を自動で整理できるツールは普及途上の段階にあり、多くの国内企業のIT資産管理者が使用許諾契約書や購入時の契約書類を読み込んで判断する必要があるのが現状といえる。