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【R-214102_6961030994】デジタルイノベーションへの構え

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 29, 2023 12:26:33 AM

コンシューマーITの進展や社会インフラのデジタル化などの潮流が、経営やビジネスに大きな影響を及ぼすことが予想される。そして、それは企業ITにも変革を求めるであろう。このような時代に向けて企業はどこを目指し、IT部門は何を備えなければならないのかについて考察する。

デジタル化で産業・事業・職業が変わる

デジタルイノベーションを「デジタル技術やデジタル化された情報を活用することで、企業がビジネスや業務を変革し、これまで実現できなかった新たな価値を創出すること」とITRでは定義している(ITR Review 2014年9月号「デジタルイノベーションの潮流」#R-214091)。デジタル化の進展によって社会や産業構造が大きく変容し、それに伴って企業の事業ドメイン、職種や仕事そのものが構造的に変化することが予想される。これは、情報や業務のデジタル化によって生み出される新しい職種・仕事がある一方で、なくなってしまう職種・仕事もあるということを意味する。

米Duke大学のCathy Davidson教授は、「2011年度に米国の小学校に入学した子どもの65%は、大学卒業時に今は存在しない職業に就くだろう」と述べている。また、英Oxford大学の研究である「雇用の将来」(2013年9月)によると、今後20年のIT化の影響で、米国における702ある職業のうち、およそ半分が失われる可能性があるとしている。1980年代のオンライン端末機の出現によってキーパンチャーという職種がなくなったことと同様の現象といえる。一方で、20年前にはWebデザイナーやオンライン・コンテンツ・キュレーターといった職種は存在しなかった。

このことは、ビジネス、顧客との関わり方、働き方などの前提そのものが変容することを意味する。企業の中でも、10年後にはなくなっている部門があったり、現時点では思いもよらない新設の部門が生まれていたりする可能性があるのである。企業は、このようなデジタルイノベーションの潮流に適応していくだけでなく、自らデジタルイノベーションを起こして、ビジネス、顧客との関わり方、働き方などを変革していくことが求められる。