スマートデバイスの企業利用が拡大するに伴い、それらの端末を管理するためのモバイルデバイス管理(MDM)製品にも注目が集まっている。多数のベンダーが参入する同市場では、技術開発の競争も激しい。本稿では、そうしたモバイル向けの管理テクノロジの最前線を紹介する。
近年、企業ITにおける主要なトピックのひとつとなってきた「スマートデバイスの業務活用」であるが、2012年頃から、国内企業において導入に向けた熱気は落ち着きを見せている。ITRが2012年10~11月に実施した「IT投資動向調査2013」でも、スマートデバイスの業務活用を検討する企業の割合は、2011年度から2012年度にかけてその伸び率に鈍化が見られた(図1)。また、同調査では、スマートデバイスへの投資動向として、「投資を予定している社数は大きく伸びないものの、1社当たりの投資金額は伸びる」との傾向も示された。
これらの結果を見ると、スマートデバイスに関心を寄せる企業では、すでに少なくとも一部導入ないし試験導入といった実運用がスタートしており、今後は導入範囲をどこまで拡大するか、活用の効果をいかに高めるか、といった次なる課題に向かおうとしていることが読み取れる。
そうしたなかで、あらためて注目されるのが、スマートデバイスの管理を効率化するMDM(モバイルデバイス管理)製品である。MDM製品が国内で注目を集め始めたのは2009年頃からであるが、実際に企業の間で本格的な導入が始まったのは2011年度後半から2012年度にかけてのことである。ITRの市場調査によれば、MDM製品の国内出荷金額は2011年度実績で前年度比2.3倍の6.9億円、2012年度は同2.8倍の19億円(予測値)と、急速な伸びを示しており、この高い伸び率は今後も持続するものと見ている(図2)。今後、企業のなかでデバイスの台数が増加していくことを想定すれば、管理インフラの重要性はさらに高まることになる。企業は、自社の今後のモバイル利用計画を見据えながら、適切な製品選定を行う必要がある。