ITが経営に貢献できていないと自覚している企業は少なくない。その原因は複数考えられるが、IT投資の意思決定に経営者が十分に関与していないこと、効果に対する説明責任者が明確になっていないことなどがあげられる。このことに問題意識を持つ企業にとって有効な施策が「Val IT」に凝縮されている。本稿ではその概要と活用について論じる。
企業では毎年多額のIT予算が確保され、その約3分の1が新規投資に割り当てられているが、経営者を満足させられる効果を十分に得られていないのが実情ではないだろうか。また残り3分の2の予算は既存システムの保守や運用に配分されているが、それらのシステムの経営への貢献度は明確には表し難い。JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の調査でも、経営者がITに期待する「ビジネスプロセスの変革」「ビジネスモデルの変革」という2つの視点とも「経営の期待に応えられている」と回答した企業は、それぞれ4.6%、1.6%と皆無に近い状況にある(ITR Insight 2013年冬号「求められるIT投資ポートフォリオ管理」#I-313012)。