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【I-325121_41807023984】AIからイノベーションを生み出すための仕組みと仕掛け

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Dec 2, 2025 12:00:00 AM
AIによる競争優位性の確保とは
AIをイノベーション創出に活用するには
イノベーションを喚起するための仕組みと仕掛けとは

生成AIの全社的な導入が加速しているが、現時点では個別業務の効率化にとどまる企業が多くみられる。AIを中核としたテクノロジのコンバージェンスが加速する時代においては、AIを前提に業務のあり方そのものを抜本的に変革することに加えて、テクノロジによって新たな顧客体験や市場を切り拓くための仕組みと仕掛けづくりが求められる。

1.AIコンバージェンス時代の競争優位性

1-1.AIコンバージェンスの時代の到来

AIは、アラン・チューリングが1950年に「機械は思考するか」という問いを立てて以来、長年研究されてきた。その後、何度かのAIブームを経て、ディープラーニングの登場によりキャズムを越え、今まさに生成AIの台頭によって爆発的普及期に突入しようとしている。そして今後は、AIとあらゆる技術の融合(コンバージェンス)が進み、幅広い分野で革新を引き起こすことが予想される(ITR Review『AIコンバージェンスにどう対峙するか』R-224051)。

コンバージェンスとは、これまで蓄積されたいくつかのテクノロジが適切なタイミングで組み合わさることで、潜在的なニーズが顕在化し、破壊的イノベーションが指数関数的に生み出される現象を指す。AIは、ソフトウェアであるため、多様なシステムや機器に組み込んだり、容易に連携できる特性をもつことから、テクノロジのコンバージェンスにおいて中核的な役割を果たすと考えられる。企業内では、ERP、SCM、CRMなどのソフトウェアやクラウドサービスにAIがあらかじめ組み込まれるようになるだろう。産業分野では、IoTやロボティクス、3D技術などがAIと融合することでさまざまな革新が巻き起こる。さらに、高度な通信技術、ブロックチェーン、量子コンピュータなどとのコンバージェンスによって、幅広い分野で大きな社会的イノベーションが創出されることが予想される(図1)。

図1.AIコンバージェンスの時代の到来

出典:ITR

そして今後、AIエージェントの台頭によって、AIコンバージェンスが加速することが予想される。Amazon社のCEOであるAndrew Jassy氏は「近い将来、何十億ものAIエージェントが稼働する」と述べている。AIエージェントは、自らリアルタイム強化学習することでさらに賢くなるだろう。また、複数のAIエージェントと連携し指示を出す「スーパーエージェント」や「オーケストレーターAI」などと呼ばれるような製品が多数台頭することが予想される。さらに、AIエージェントが新たなAIエージェントを自動生成し、自己増殖することも考えられる。AIエージェントは、他の技術やシステムと連携することによりコンバージェンスをさらに加速させる役割を果たす。