Dockerに代表されるコンテナおよびKubernetesに代表されるコンテナ・オーケストレーターの活用が世界規模で進んでおり、極めて速いスピードでテクノロジも進化している。本稿では、DockerおよびKubernetesの最新動向、著名ベンダーの動向、代表的ユースケース(マイグレーション、クラウドネイティブなど)を解説し、企業で活用する際のポイントについて述べる。
内企業において、コンテナに対する注目度が上がっている。ITインフラはメインフレームから単独のオープンシステム・サーバ(Windows、Linux、UNIXなど)に移行し、その後、VMwareに代表される仮想サーバに集約されてきた。2000年代になってクラウドサービスとしてIaaS(Infrastructure as a Service)が提供され、パブリッククラウド上で仮想サーバをオンデマンドで構築できるようになった。IaaSでは希望どうりのITリソースを極めて迅速に調達/廃止ができるようになったが、仮想サーバ上でOS、ミドルウェア、アプリケーション用ソースコードや実行プログラムなどを個別に管理しなければならないのは、メインフレーム時代から大きな変化はなかったといえる。このためにIaaS採用を行っても、運用コストやデプロイ時間の大幅な削減ができなかった企業が多かった。コンテナは、アプリケーションに必要なすべてのコンポーネントを包含したソフトウェア・イメージであるため、次世代のITインフラ・テクノロジとして大きな注目を集めているのである。
ITRが2019年4月に従業員500名以上の国内企業に対する調査結果を示した。回答者は企業においてITインフラ業務に携わっている人である。これによると、2割強の国内企業がコンテナを全社レベルで本番活用していることがわかる。「一部活用」「検証中」を含めると約半数の国内企業がコンテナに前向きである。コンテナを採用している企業のプロフィールを分析すると、デジタルトランスフォーメーションに積極的な企業、内製指向の強い企業、ビジネスが好調な企業がコンテナに前向きであることがわかった。