クラウドの登場以降、ITインフラ領域でイノベーションが続いている。サーバ仮想化に続く、次世代仮想化テクノロジである「コンテナ」はクラウドとの併用で真価を発揮する。コンテナはクラウドネイティブを容易に実現できる可能性が高く、IT基盤の変革により自社ビジネスを推進したい企業は、コンテナ・テクノロジを積極的に試行すべきである。
メインフレームが主流の時代からオープンシステムに移行した時期に、多くのIT部門はベンダーロックインからの開放やハードウェア/ソフトウェア選択の自由度向上を喜んだ。しかし、その結果、過度なマルチベンダー化が進み、システムごとにベンダーおよびハードウェア/ソフトウェア環境が異なり、統合的なシステム運用が困難になる「システムサイロ化」が拡大した(ITR Insight 2015年冬号「ビジネス戦略から導き出す次世代IT基盤構築アプローチ」#I-315012)。
大企業の多くは、数多くのアプリケーションを運用しているが、リアルタイムに自社のビジネス状況を可視化できるシステムを保有している企業は皆無といってよいだろう。その要因は複数あるが、この「システムサイロ化」が最も大きな要因のひとつであることは疑いの余地がない。
オープン化が盛んになった頃は数百台のサーバを運用している国内大企業も少なくなかった。そして、運用負荷の観点から、VMwareに代表されるサーバ仮想化の仕組みを活用して、物理的なサーバ・ハードウェアを統合する企業が一般的となった。しかし、サーバ統合が進んだ企業であっても、論理的なサーバ構成(仮想マシン、サーバOS、ミドルウェアなど)がばらばらであることは一般的であり、システムサイロ化は低減されることはなかった。昨今はクラウドサービスを活用する企業も多いが、実際はこれまでの個別ハードウェアや仮想サーバの代替としてIaaSを活用することが多く、クラウドサービスの活用度が上がれば上がるほど、企業のシステムサイロ化が進むという状況に陥っている。