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【2026-11-05_1_Press】ITRが「ITR注目トレンド2027」を公開

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Nov 5, 2026, 12:00:00 AM

ITRが2027年に注目すべき11のIT戦略テーマ
「ITR注目トレンド2027」を公開
2027年に企業が注目すべき11のIT戦略テーマを提示 

2026.11.05

独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:三浦 元裕、以下「ITR」)は、2027年に企業が注目すべき11のIT戦略テーマをまとめた「ITR注目トレンド2027」を発表します。

図.2027年に注目すべきIT戦略テーマ

出典:ITR「ITR注目トレンド2027」

ITRでは、「人とAIの協働に向けた変革」「システム開発・構造の再定義」「複雑化するリスクへの備え」の3つの視点から、2027年に企業が注目すべきIT戦略テーマを提示しています。取締役/プリンシパル・アナリストの入谷光浩は、「AIが業務の判断や実行を担う領域はさらに広がり、人とAIの協働に向けて経営とシステムのあり方が大きく変わろうとしています。企業は、人とAIの役割・責任を明確にしたうえで組織や業務を変革し、AIを前提に開発手法やシステム構造を再設計する必要があります。同時に、高度化するサイバー攻撃、AIによる誤判断や意図しない操作、AI関連支出の膨張といったリスクに備え、AIの信頼性と経済性を確保しながら、AI活用を継続的な価値創出につなげることが重要となります」と述べています。

 

これらの11の戦略テーマに関する解説と予測を掲載した「ITR注目トレンド2027」は、ITRの主催イベント「IT Trend 2026『人とAIの協働が導くビジネスの再定義』」(2026年11月12日(木)10時開催)で配布する資料に記載しています。

■人とAIの協働に向けた変革 

 AIへの業務移管と人の役割転換

AIは、情報収集や分析の支援にとどまらず、状況に応じて一定の業務を自律的に遂行するなど、業務遂行の中核的な役割を担う領域を広げつつある。企業は、AIへの業務移管を主要業務へも拡大し、必要な権限をAIに委譲することが求められる。これに伴い、人はAIの監督や評価を行うとともに、戦略的かつ高度な判断を担うなど、求められる能力水準も高まる。企業は、こうした能力をもつ人材の確保・育成を進め、AIと人が協働する業務遂行モデルを確立し、自社の価値創出力を高めることが重要となる。


持続性ある「AIレディネス」の整備

生成AIの業務利用は拡大しているが、個人や部門任せでは安全かつ持続的な全社展開は望めない。企業は、AIリテラシー、AIコンピテンシー、AIケイパビリティ、AIガバナンス、AIアジリティの5つの能力からなる「AIレディネス」を体系的に整備することが求められる。その要諦となるのは、AIの特性と限界を理解し、適切な指示と出力の評価を実践するための「AIフルエンシー」の育成と、役割・責任、意思決定、改善の仕組みを明確化した「AIオペレーティングモデル」の確立である。


AI駆動型業務プロセスへの再設計
AIは、アシスタント的な役割から業務遂行の中核として機能する段階に入ってきている。これにより、人は監督や戦略的判断に専念し、AIが業務を支えるという体制を構築可能になる。リアルタイム分析や予測、最適化機能を備えたAIは、作業の割り当てやリソース配分を動的に最適化し、迅速な意思決定支援や業務負荷の軽減、変化への柔軟な対応を実現する。企業は、人材不足や業務効率化に応えるため、業務プロセスと業務データ基盤をAI前提で再設計し、AI駆動型業務遂行への転換を推進することが求められる。

AI活用を組織能力へ転換するナレッジ循環の確立

個々の従業員がAI活用で得た知見が個人に閉じたままでは、組織全体の能力向上にはつながらない。企業は、AIとの対話から生まれる問い、仮説、判断根拠、試行錯誤などの個人の暗黙知を含む思考の痕跡を表出・連結化して、再利用可能な組織知の資産として蓄積する必要がある。そのうえで、SECIモデルに代表されるフレームワークを参考に、AI活用を前提としたナレッジ循環を構築することが求められる。このナレッジ循環を高速かつ継続的に回すことで組織知のコンパウンディング(累積度)が高まり、全社的な組織能力の向上に寄与する。


AIの業務実用化を支える共創型推進体制への転換

AIの業務実用化では、企業固有の業務知識や判断基準などを、人とAIが協働するためのコンテキストとして継続的に取り込み、AIを業務に適応させることが重要となる。今後は、企業が主導し、外部の専門人材とともに課題発見、試作、実装、改善に取り組む共創型推進体制への移行が進む。ただし、高度なAI人材の供給は限られており、外部任せの企業は必要な人材やサービスを継続的に確保し、活用することが難しくなる。企業は、外部の支援を自社の目的に応じて選択・組み合わせながら、知識と実装能力を社内に蓄積することが求められる。

■システム開発・構造の再定義 

人間意図に基づいたAIネイティブ開発によるイノベーション推進

AIによるアプリケーション開発は大きく進化していく。従来のタスクごとのAI適用では成果獲得に限界があるため、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)全体にAIを適用する企業が増える。その発展形として、人間の意図を理解したAIがSDLCの全タスクを主導する「意図駆動型AI主導開発(AIネイティブ開発)」へと移行する。これにより、多重下請け構造からなる請負型SIビジネスは崩壊する。ユーザー企業は開発へのAI活用戦略を主体的に策定し、SIerはAI主導開発を前提に自社のビジネスモデルを変革すべきである。


 AI技術によるエンタープライズシステムの融合

AI技術の進化は、基幹系システムの自律性向上や横断的な業務の自動化に大きく貢献する。決定論的なシステムであるSoRは、今後も企業のファクトデータ管理を担う。その一方で、AI技術はSoR、SoE、SoIといった従来の枠組みを「超え(Beyond)」てそれらを融合しつつ、人間の中央値レベルの能力をもつAGI(人工汎用知能)からASI(人工超知能)に進化するエージェンティックAIが自律化を大きく促進する。オントロジーをベースとするSoB(Systems of Beyond)により、データ管理(SoR)、協働・顧客接点(SoE)、アナリティクス(SoI)が分断されることなく、地続きの体験を提供できるようになる。


AI活用に向けたメタデータ管理の高度化 

従来のメタデータ管理は、主にデータベースや分析ツールを介して人が利用することを前提に、静的な情報と構造化データだけで十分とされてきた。しかし、生成AI/LLMやAIエージェントが利用するデータ基盤では、ベクトルやナレッジグラフを活用した非構造化データへのメタデータ付与や、システムがリアルタイムにメタデータを参照・制御する「アクティブ・メタデータ」への対応など、より高度なメタデータ管理が求められる。

■複雑化するリスクへの備え

AIの信頼性と経済性を両立するAIガバナンスの確立

AIへの依存がますます高まるなか、AIの誤判断や想定外の行動が業務に及ぼす影響は大きくなる。企業は、AIオブザーバビリティの仕組みを構築し、処理過程や判断・行動の可視化と処理結果の妥当性の検証を行うことで、AIの信頼性を高め、安全な業務活用につなげることが求められる。また、AIへの支出が膨らみ続けることで、予算が圧迫され、AIモデルの見直しや実行環境の変更が迫られるようになる。FinOps for AIのようなフレームワークを活用し、AI支出と業務成果を関連づけて、継続的に最適化していくことが重要となる。


AIの攻撃悪用に対抗するリスクベース脆弱性管理への転換

攻撃者によるAIの悪用はすでに広がり、脆弱性の発見から悪用までを人手を介さずに行う攻撃も確認されている。今後、悪用が確認される脆弱性の増加が見込まれるが、それら全てに同じ優先度で対応し続けることは現実的ではない。実際、2026年に米国立標準技術研究所は脆弱性の詳細分析を悪用実績のあるKEV(Known Exploited Vulnerabilities)掲載分などに絞り込み、米国サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁も対応期限をリスクに基づく方式へ改めた。国内企業にも、悪用の実態と自組織への影響度に基づいて、対応の優先順位と期限を決める運用への転換が求められる。


フィジカルAIの普及を見据えたサイバー・フィジカル・セキュリティの強化 

フィジカルAIの実装により、現実空間を認識・判断し、ロボットや設備を自律的に制御する取り組みが、製造、物流、建設、警備などの分野で拡大する。一方、AIの誤判断やサイバー攻撃による不正操作が、設備の損傷や人的被害などにつながるリスクも高まる。企業には、情報保護を中心とした従来のセキュリティ対策に加え、AIモデル、通信経路、センサーなどの接続機器やアクセス制御を含め、サイバー空間と物理空間の双方を考慮した対策が求められる。また、IT部門には、フィジカルAIの安全な導入・運用を支援する役割が期待される。

 

 量子時代に備えた耐量子計算機暗号への移行 

量子コンピュータが実用化されると、RSAなどの公開鍵暗号は解読されるリスクが高まる。暗号化データを窃取し、将来解読する攻撃(HNDL)を考えれば、長期の秘匿が必要な情報はすでにリスクにさらされている。米国・欧州の動きを受け、日本政府も政府機関を対象に2035年を目処とした耐量子暗号への移行方針を示しており、民間企業にも要請が広がると見込まれる。移行には10年規模を要するため、企業は暗号インベントリによる現状把握、保護期間に基づく優先順位づけ、クリプト・アジリティの確立を軸に、早期に移行計画を策定すべきである。