独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:三浦 元裕、以下「ITR」)は、国内のIaaS/PaaS(Infrastructure as a Service/Platform as a Service)市場規模推移および予測を発表します。
IaaS/PaaS市場の2023年度の売上金額は1兆5,642億6,000万円、前年度比15.3%増となりました。市場に影響力を持つ上位5ベンダーが、いずれも前年度から2桁の伸び率となったことが要因です。2024年度も同様の傾向により、同等の伸びが維持されると予測しています。
IaaS市場においては、エネルギー価格の高騰や仮想化基盤のライセンス価格の変更などを背景に、多くのベンダーがサービス提供価格を引き上げており、単価の上昇が続いています。大企業では、新規導入は減少傾向にあるものの、ハイブリッド/マルチクラウド環境の拡充に向けたアップセルの増加が期待されます。一方、中堅・中小企業では、クラウド化が進んでいないところもまだ多く、今後も新規導入が拡大すると予想されます。需要は一部のメガクラウドベンダーに集中しており、これらのベンダーが今後も市場の拡大を牽引するとみています。
PaaS市場においては、各ベンダーともサービスの強化・拡充を継続的に進めており、特に近年はAI関連のサービスの拡充に注力しています。こうしたAI関連サービスを含め、DX推進の基盤として、今後も企業規模を問わずPaaSの導入が進むとみられます。IaaSと同様、需要が集中している一部のメガクラウドベンダーの売上拡大が市場全体の成長を後押ししています。
これらのことから、IaaSとPaaSを合算した市場のCAGR(2023~2028年度)は12.8%、2025年度には市場規模は2兆円に達すると予測しています。
図.IaaS/PaaS市場規模推移および予測(2022~2028年度予測)ITRのプリンシパル・アナリストである甲元 宏明は、「IaaS/PaaS市場は大規模なユーザー企業の需要によって拡大している点が特徴です。これらの企業はDX推進に積極的であり、より高度にクラウドサービスを活用しています。現在では、仮想サーバ・サービスに代表されるIaaSだけを利用する企業は少数派となり、サーバレスやコンテナ/Kubernetesサービスといった高度なPaaSとIaaSを併用し、グローバルにビジネスを展開する企業が多数を占めています。こうした企業にとっては、必然的にメガクラウドが選択肢となるといっても過言ではありません。このような背景から、今後もメガクラウドが同市場を牽引することは確実といえます」とコメントしています。
調査概要
今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート『ITR Market View:クラウド・コンピューティング市場2025』に詳細を掲載しています。同レポートには、IaaS/PaaS市場およびDaaS(Desktop as a Service)市場を対象に、国内33ベンダーへの調査に基づいた2022~2023年度売上げ実績および2028年度までの売上げ予測を掲載しています。