[特集]デジタルイノベーションの潮流 ― デジタル化の進展が企業ITに及ぼす影響とは―

ビジネスへの直接的な貢献が重要なIT戦略であると認識されつつも、多くの企業がそれを実践できているとは言い難い。従来型の企業ITの進展は成熟段階に向かっており、今後はコンシューマーITの進展や社会インフラのデジタル化などの潮流が経営やビジネスに大きな影響を及ぼすことが予想される。そして、それは企業ITにも変革を求めるであろう。

デジタルイノベーションとは

注目すべきデジタルイノベーション

デジタルイノベーションが企業ITに及ぼす影響

  • それでは、デジタルイノベーションの潮流は、企業ITにどのような影響を及ぼすのであろうか。まず、IT部門がこれまで提供していた業務アプリケーションやその基盤となるITインフラは、ビジネス環境の変化や各種イノベーションに対して、ITの展開が時間的にも柔軟性の面でも足かせとなることがないよう、あらかじめプラットフォーム化しておくことが求められよう。ITRでは、そのような革新的なITインフラ、アプリケーションおよびデータの基盤を「デジタルビジネス・プラットフォーム」と呼んでいる(図3)。

    図3.デジタルイノベーションと企業ITの関係 デジタルイノベーションと企業ITの関係

    デジタルビジネス・プラットフォームは、仮想化技術やクラウドサービスで構成された柔軟性の高いITインフラ、マルチデバイスへの対応、アジャイルなアプリケーションの開発・展開、分析・活用を前提としたデータ連携・統合基盤などの要件を満たしていることが想定される。

    社会・産業のデジタル化の潮流は、研究開発、モノづくり、物流、新規ビジネスモデルなど、主に事業特化型ITの領域に大きな影響を及ぼすと考えられるが、その影響の度合いや対象となる技術は業種ごとに異なるであろう。顧客との関係のデジタル化の潮流は、マーケティングITの新領域を形成し、販売チャネルや顧客との接点のあり方、企業や商品の価値訴求やブランディングの方法、顧客の声や市場の状況に関する情報収集の手法などに変革をもたらすであろう。これらは、これまでのCRM、マーケティング・データ分析、営業支援などに影響を及ぼすと考えられる。また、組織運営・働き方のデジタル化の潮流は、“Future of Work” ITという新領域を形成し、ワークスタイル、意思決定プロセス、人事・人材管理、コラボレーション環境などに影響を及ぼすであろう。

    [関連レポート]
    ITR User View:デジタルイノベーション動向調査
    イノベーション分野別に見る取り組み状況

    2014年11月に実施した企業のデジタルイノベーションに関する動向調査から、本稿では3つのイノベーション分野における企業の取り組み状況ついて概観する。

提言

  • デジタルイノベーションへの取り組みは、さまざまなビジネス課題を解決する手段であると同時に、新たな組織や業務のあり方を切り拓く創造的なものでなくてはならない。技術シーズを踏まえて企業の将来像を描き、ビジネス変革を実現していくためには、IT部門は事業部門側の要件が確定してからではなく、イノベーションの企画および構想化の段階からこのイニシアチブに積極的に関与し、ITの適用可能性や技術の適切な選定における知見を提供していくことが求められる。

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