レポート・ライブラリ|株式会社アイ・ティ・アール

【R-226095_61865651616】IT子会社再編における運営モデル設計

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 17, 2026, 12:00:00 AM

ITR Review『IT子会社再編の類型選定と意思決定プロセス』(R-226073)では、統合・内製化型、協業・合弁型、外部化型、独立強化型の4類型の選定の考え方と意思決定プロセスを整理した。しかし、類型を選定しただけでは、再編の実効性は高まりにくい。本稿では、いずれの類型でも検討が必要となる主要領域を整理し、選択した類型を具体的な運営モデルに落とし込むための設計視点を提示する。

運営モデル設計の前提

IT子会社再編では、方向性を定めた後に、その方向性を日々の運営で機能するかたちに落とし込む必要がある。組織形態を選択しても、どの機能を誰が担い、責任と権限をどこに置くかが明確でなければ、実行段階で意思決定が滞りやすい。運営モデルの設計は、組織図や体制表の作成にとどまらず、IT機能の担い手、責任分担、意思決定・ガバナンス、人材・スキルを実務に即して具体化するものである。再編前の依頼、承認、報告の流れを残したままでは、組織形態を変えても実際の業務運営は大きく変わらない可能性がある。特に、相談先、判断主体、結果責任の所在が従来のままであれば、再編後も従来の運営に戻りやすい。また、役割/責任に関する認識が関係者間で共有されていなければ、運営開始後に役割調整が繰り返し発生する。したがって、役割/責任と判断主体を明確にしたうえで、後続の詳細設計を進める必要がある。

例えば、事業との一体運営を重視する場合でも、事業部門と親会社のIT部門の責任境界が整理されていなければ、意思決定の迅速化にはつながりにくい。外部活用を進める場合も、自社に残すべき企画、判断、統制機能を明確にしなければ、委託先への依存が強まりやすい。したがって、運営モデル設計では、選択した類型に合わせて、日常の業務運営で何を変えるのかまで具体化する必要がある。一方、具体的な設計内容は類型によって異なるものの、検討すべき領域には共通性がある。そこで、類型ごとの詳細設計に入る前に、共通する主要領域として、機能・役割分担、意思決定・ガバナンス、人材・スキルの3領域を整理するべきである(図1)。

図1.運営モデル設計の3つの主要領域

出典:ITR