生成AIやAIエージェントの普及により、オープンイノベーションは新たな段階に入ろうとしている。これまでは、AIを使って外部の技術や協業先を探索することにとどまっていたが、今後は、幅広い企業・組織がデータ、AIモデル、業務知識、顧客接点を持ち寄り、構想から開発、事業化、運営、改善までを共同で担うことで、オープンイノベーションの価値は拡大していく。
生成AIやAIエージェントの普及は、オープンイノベーションの前提を変えつつある。これまで企業は、大学や研究機関、スタートアップ、取引先などから不足する技術やアイデアを取り込み、自社の研究開発や新規事業に活用してきた。しかし、AIが前提となる時代に重要となるのは、外部知識を探索することだけではない。複数の企業が知識、データ、業務機能、顧客接点を接続し、共同で価値を生み出すことが求められる。
AIは、こうした複数企業に分散した知識や機能を探索・整理し、相互の関係を見いだす役割を果たす。業界や専門分野の異なる参加者の間にある言葉や認識の違いを補い、技術、顧客課題、業務プロセス、事業機会を結びつけることで、従来は接点のなかった企業間の共創を促進する。また、市場情報や現場データ、顧客の反応を継続的に分析することで、共創テーマや参加企業の役割も固定されたものではなく、環境変化に応じて見直すことが可能になる。このため、AI時代のオープンイノベーションは、特定のアイデアや技術を外部から調達する活動から、企業間の知識、機能、顧客接点、事業基盤を動的に接続する活動へと広がっていく。企業には、自社の境界を越えて価値創出の仕組みを設計することが求められる。