ここ数年、ランサムウェア攻撃の脅威が広く認識され、企業における対策も進んでいる。しかし、警察庁の統計データを見ると、被害の傾向に大きな改善はみられない。本稿では、こうした現状を踏まえ、関係機関の公開資料などを基に、企業規模を問わず活用可能な、復旧期間の短縮と費用負担の軽減に資する具体的な施策を示す。国内の各組織が対策を検討する際の一助とされたい。
「ランサムウェア攻撃による被害」は、IPA(情報処理推進機構)が2026年1月末に公表した『情報セキュリティ10大脅威 2026』においても、2016年以降、11年連続で選出されており、2021年以降は毎年1位にあがっている。また、警察庁が公表する『サイバー空間をめぐる脅威の情勢等』に示された「復旧等に要した期間」と「調査・復旧費用の総額」に関する統計データからも、国内組織はランサムウェア攻撃への対策を継続的に講じる必要があることがわかる。
復旧に要した期間では、2ヵ月以上を要した事案の割合は緩やかに減少しているが、1ヵ月未満で復旧した事案の割合については、明確な改善傾向はみられない(図1)。調査・復旧費用の総額は、年々増加傾向にあった5,000万円以上の高額な費用を要した事案の割合が、2025年に歯止めがかかった一方で、1,000万円未満にとどまった事案の割合は減少傾向にあることが確認された(図2)。
次に、ランサムウェア攻撃の被害に遭った際の復旧期間の短縮や、高額化する調査・復旧費用への対応に向けた具体的な取り組みについて紹介する。