AI技術の進化は、基幹系システムの自律性向上や横断的な業務の自動化に大きく貢献すると期待されている。しかし、SoR(System of Record)として正確性、一貫性、監査可能性が求められる基幹系システムにおいては、AIエージェントがもつ確率論的な特性は本来相容れない。2026年3月にOracle社が発表したFusion Agentic Applicationsは、決定論的な制御を取り入れることにより、このトレードオフを緩和するアプローチであるとITRはみている。
2026年3月24日、米Oracle社はFusion Agentic Applicationsを発表した。日本では、日本オラクルが同年4月14日に説明会を開催した。同製品では、「タスク自動化を超えた成果重視への移行」や「自律型エンタープライズへの転換」といったキーワードが強調されている。企業がビジネス全域で自動化を拡大しようとするなか、セキュリティやルールベースの承認機能を担保しつつ、複数の機能にわたってAIエージェントを調整できる新たなプラットフォームを提供することを訴求していた。
Fusion Agentic Applicationsは、AIエージェント型アプリケーションの構築・連携・運用を支援する開発プラットフォームであるOracle AI Agent Studioの最新アップデートに併せて発表された。Oracle AI Agent Studioのアップデートでは、新たにAgentic Applications Builderが追加されたほか、Workflow Orchestration、Content Intelligenceといった主要コンポーネントが拡充された。Agentic Applications BuilderがAIエージェントの設計・開発を担い、Workflow Orchestrationがエンタープライズレベルのオーケストレーション機能により、ワークフローステップ間の流れを制御するルール、組み込みロジック、およびHITL(ヒューマン・イン・ザ・ループ)による人の監視を活用して、AIエージェントを制御する。Content Intelligenceは、社内外の非構造化データ(自社データやサードパーティデータ)をトランザクションデータと統合することで、AIエージェントがコンテンツや脈絡を理解して自律的なアクションを起こせるようにする。
こうしたツールにより開発されるAIエージェントは、外部のAIエージェントと相互連携できることはもちろん、ERPなどのOracle Fusion Cloud Applicationsのトランザクション・アプリケーションにネイティブに実装されることはいうまでもない。これは、今回のFusion Agentic Applicationsの発表以前から、AI Agent StudioがSaaSであるOracle Fusion Cloud Applicationsと同一インスタンス内でシームレスに実装されるアーキテクチャであることも即時性に大きく貢献している。