サブスクリプションビジネスは、単なる定額課金モデルの域を超え、企業の収益基盤を支える中核モデルへと進化している。従来の売り切り型を前提とした販売管理システムから、契約の変更・更新・解約が日常的に発生する動的な収益オペレーションに対応できるシステムへの転換が求められている。本稿では、サブスクリプション管理サービスの市場概況と主要サービスの動向、ならびに企業での導入時の留意点について解説する。
日本国内のサブスクリプションビジネスとその管理市場は、消費者の「所有から利用へ」という価値観の変化と、企業のDX推進の潮流を受けて、堅調な拡大を続けている。BtoCでは、当初はデジタルコンテンツ(動画・音楽配信)が中心であったが、現在ではファッションや化粧品・美容、家具、さらに衣食住全般へと広がっており、利用の習慣化が進み、社会インフラの一部として定着しつつある。また、BtoBでは、IT業界におけるクラウドサービスがサブスクリプションビジネスの代表例であったが、製造業やサービス業の企業においても既存ビジネスのサブスクリプション化/リカーリング化が進展している。サブスクリプションビジネスは顧客による継続利用を前提とした事業、一方、リカーリングビジネスは継続的に収益が発生する仕組みをもつビジネス(保守や消耗品の定期購入を含む)であり、どちらもストック型ビジネスで顧客の継続利用が重要である点が共通している。これまでは定額制のサービスが多く見受けられたが、生成AIのトークンやスマートフォンの通信量などの従量課金や、定額基本料+従量課金といった課金方式が増えている。このため、サブスクリプションビジネスを管理するサービスは多様な課金方式への対応が求められている。
こうした背景から、国内のサブスクリプション管理市場が活況となっている。ITRの『ITR Market View』調査によれば、同市場の2023年度の売上金額は前年度比24.6%増の43億円となり、2023~2028年度のCAGRは25.7%と非常に高い成長率で推移すると予測している(図1)。この成長の要因には、サブスクリプション型ビジネスの幅広い業種での拡大に伴い、契約管理や月額/従量方式の請求・回収管理といった複雑な業務を効率化するツールへの需要が高まっていることがあげられる。また、サブスクリプションの利用促進を支援するカスタマーサクセス機能へのニーズ拡大も、市場成長を後押ししている。
なお、同調査では、サブスクリプション管理市場を、「顧客ごとに課金プランや契約形態が異なるサブスクリプション型(定額課金型)ビジネスの管理を支援する製品・サービス」と定義し、商品・サービス情報管理、顧客・契約管理、請求・回収管理、各種決済連携などの機能を備えた製品・サービスを対象としている。なお、リピート購入・定期購入型ECサイト構築製品・サービスは同市場からは除外している。また、サブスクリプション管理というと、近年では、企業における多様なクラウドサービスの契約やコストを管理するサービスと誤解されやすいが、それはFinOpsを指し、本稿の対象ではないことに留意されたい。