国内企業のIT投資は、「攻め」から「守り」へと重心が移りつつあり、IT部門の役割意識も維持管理を中心とした領域にとどまっている。本稿では最新の調査結果を基に、AIによる自動化が進む3~5年後を見据え、IT部門の存在目的を再定義し、価値創出の中枢を担う役割への転換の必要性を論じる。
コスト高騰や人材不足など、IT投資を取り巻く外部環境は年々厳しさを増している。加えて、相次ぐシステム障害やランサムウェア被害など、社会システムや企業の業績に影響を及ぼす事象も多発している。こうした環境変化を背景に、国内企業のIT投資マインドは「攻め」から「守り」へと傾きつつある。
図1は、ITRが2025年9月に実施した『IT投資動向調査2026』の結果から、来期に最重要視するIT戦略上の課題の変化を抜粋したものである。前年調査(2025年度の順位)で最も回答が多かった「デジタル技術によるイノベーションの創出」は、2026年度の順位は2位に後退し、代わって「システムの性能や信頼性の向上」が前年の6位から大幅に順位を上げてトップとなった。また、「サイバー攻撃への対策強化」も7位から4位へと上昇している。これらの動きから、IT投資における優先テーマが“攻め”から“守り”へと移行していることが読み取れる。