国内企業のIT予算額の増減を指数化した「IT投資インデックス」は5年連続で上昇し、過去最高値を記録した。また、調査では、多くの企業がAI活用とDX深化に向けた投資を本格化させていること、そして、システム障害の顕在化やサイバー攻撃の増加を受けて、経営リスクとしてIT基盤の堅牢性確保も急務となっていることが浮き彫りになった。本稿では、ITRが2025年8~9月に実施した『IT投資動向調査2026』から、主要な調査結果を取り上げて解説する。
国内企業における2025年度(2025年4月~2026年3月)のIT予算額は、前年度から「増額」した企業の割合は、前回調査の2024年度から3ポイント増の47%に上り、最高値を更新した(図1)。2026年度の増減予想は、増額企業の割合は同水準で推移するが、10%以上の増額を予想する企業の割合が微減となった。
このIT予算の増減を指数化した「IT投資インデックス」も5年連続で上昇し、2025年度の実績値(4.10)は2006年度(3.88)を上回り過去最高値となった(図2)。また、2026年度の予想値は3.90と2025年度を下回ると見込まれているが、2021年度以降、同インデックスの実績値は前年調査時の予想値を毎年上回っている。
近年のIT予算は、AIの業務適用をはじめとするDXの推進や、クラウドサービスや人件費の価格上昇により、実際の支出額は策定時の予算を上回ると推察される。こうした傾向から、2026年度もIT予算の増額基調は維持されると予想される。