生成AIの活用はアプリケーション開発全体で急速に拡大しており、概念設計から保守に至るまであらゆる工程において生産性向上とコスト削減が期待されている。特に実装や単体テストにおいて顕著な効果がみられる一方、国内企業においては属人化しがちな上流工程や設計工程での活用が今後の重要な鍵となる。生成AIを「共通のたたき台生成エンジン」として活用することで、要件の明確化や品質の平準化が進み、内製化推進にも寄与すると考えられる。
アプリケーション開発における生成AI活用の取り組みが急速に拡大している。すでに多くのITベンダーおよびユーザー企業がアプリケーション開発の各フェーズにおいて生成AIを適用し、生産性を向上させている。この動きは、近年注目されている「アプリケーション開発の内製化」と密接に関連している。
生成AIがもたらす自動化や人的作業支援の効果を開発業務の各フェーズ(概念設計/要件定義/基本設計/詳細設計/実装/テスト/移行/運用/保守など)で把握することが、生成AIテクノロジ/ツール/サービスへの投資判断やPoC対象領域の選定、組織的導入戦略の検討に役立つ。図1に、フェーズごとの生成AI適用領域、代表的AIテクノロジ/ツール/サービス、コスト削減期待値、コスト削減事例を示す。
現時点では、コスト削減率などの定量的な数値を公開している事例は非常に限られている。このため、図1には、各種公開事例、国内開発者に対するインタビューおよびアナリスト知見に基づき、ITRが予測した数値を記載している。