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【R-225074_30282812210】人事BPOの将来性

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Jul 7, 2025 12:00:00 AM

DXとBPO(Business Process Outsourcing)の関係は、近年、根本的な変容を遂げている。従来のコスト削減手段としてのアウトソーシングは、DXと主従や上下のような関係にあったが、今後は「共生」へと進化していくだろう。不確実性が高い時代において、競争上の優位性やレジリエンスを強化するためには、組織、業務プロセス、企業文化・風土の変革と戦略的な再編が不可欠だからである。企業は、自社のケイパビリティに応じた適切なBPOを選択肢から除外すべきではない。

DXとBPOの関係性

DXとBPOの連携は世界的な潮流であるが、その推進動機、導入アプローチや成熟度には顕著な差異が存在する。不確実性が高く、今後さらに加速することが余談を許さないなか、変化や新たなビジネスモデルへの適応が「待ったなし」な時代において、防衛的な内向きDXから、攻撃的な外向きDXの比重を高めていく必要がある。こうしたDXの戦略性に対して、BPOが依然として戦術的なコスト削減手段として位置づけられ、主従や上下の関係とされていることが多い。しかし、本来、両者は変革と組織・リソースの再編を相互に補完し合う「共生」のライフサイクルと捉えるべきである(図1)。

図1.DXとBPOの共生のライフサイクル

出典:ITR

共生のライフサイクルを循環させていくための主要ドライバは、以下の3点である。

1.戦略的な人的資源創出:ケイパビリティ、すなわち企業の保有能力について、汎用的な業務に従事する人的リソースを解放し、今後も差別化すべき中核業務やイノベーティブな業務にシフトさせる。

2.専門知識・スキル活用:社外の専門事業者が蓄積してきた専門知識とノウハウを活用することで、生産性の向上と高品質な業務遂行を実現する。また、これにより、業務量や人的リソースの変動にも、弾力的に対応できるようにする。

3.業務プロセスの標準化: DXやBPOだけでなく、AIやクラウドなどの活用においても、また組織・人的リソースの再編に向けた外部専門事業者の活用においても、業務プロセスの標準化は不可欠であり、横断的に取り組むことが求められる。