生成AIは企業活動のさまざまな局面での利活用が試みられているが、企業内研修については、特に研修教材の内製化の分野で大きな効果が期待されている。本稿では、企業内研修における生成AI利活用の最新動向を解説するとともに、生成AIが企業内研修のシステム基盤であるLMSに与える影響について考察する。
研修教材を作成する工程において、生成AIはさまざまな作業を自動化する(図1)。研修教材の作成工程は、概要の作成から始まる。研修テーマを生成AIに質問(プロンプト)として入力することで、目次や各単元のサマリーなどの概要が回答として得られる。
概要を確認した後、研修教材の作成に入る。最初にプレゼンテーション・スライド、続いて各スライドのノート(説明文)が生成される。eラーニング教材を作成する場合は、さらに説明文の読み上げ音声とそれに合わせたアバター映像が追加される。追加工程として、多言語対応が求められる場合は翻訳が行われ、確認テストが必要な場合はテスト問題とその解答が作成される。
このように、生成AIを活用することで極めて少ない工数で研修教材を作成することができるため、今後は、企業内研修における研修教材の内製化が進むと考えられる。従来、企業独自の研修教材(カスタム教材)を作成するには、専任担当者と専用機材を準備するか、外部業者に委託する必要があったことから、人的リソースや研修予算が潤沢な一部の大企業でしか行われていなかった。しかし、生成AIを活用することで、カスタム教材の作成はもちろんのこと、これまで外部から購入していた標準的な教材も内製化することでコスト削減を図る企業も出てくるであろう。