2024年に導入が加速している生成AIは、コンタクトセンターのオペレーションにも取り入れられ、顧客との対話の効率化と品質向上の効果をもたらし始めている。本稿では、コンタクトセンター関連システムおよびAIへの企業の投資動向と、コンタクトセンター業務における各種システムへの生成AIがもたらす影響について述べる。
2022年11月にOpenAI社のChatGPTが公開されて以降、大規模言語モデル(LLM)をベースとした生成AIは世界中の注目を集め、いまや多くのIT製品・サービスが生成AIを実装したり、GPTやGoogle社のGemini(旧Bard)などの生成AIの基盤モデルとの機能連携によって提供されている。また、生成AIは、チャットボット/チャットサポートや音声認識、VoC(Voice of Customer)の要約など、コンタクトセンター関連の製品・サービスへの投資との関係性が強いことから、個々が提供するAI機能の利用と、生成AI基盤モデルのそれぞれの領域での適用を比較しながら、自社要件に適したものを評価するなど、投資計画の整理が必要であろう。
そこで、ITRが2023年8~9月に実施した『IT投資動向調査2024』の結果から、コンタクトセンター関連ITへの投資意欲をみてみる。図1は、同調査回答を、コンタクトセンターを運用している可能性が高いとみられる従業員数1,000人以上のBtoC企業に絞って算出したものである。なお、調査時点の同セグメントにおける「コンタクトセンター・ソリューション」の導入率は26%であった。