DXによってアプリケーション開発が積極的に推進され、DevOpsを実践するIT組織が増えている。その一方で、サイロ化や複雑化などDevOpsでの課題が顕在化し、開発エンジニアの認知負荷が増大している。その課題に向けて近年注目が高まっているのがプラットフォーム・エンジニアリングである。本稿では、プラットフォーム・エンジニアリングが登場した背景を説明し、その概念とアーキテクチャについて述べる。
DevOpsムーブメントが起きてから10年以上が経過した。DevOpsの概念はソフトウェアエンジニアリングの世界に深く浸透しており、迅速なアプリケーション・デリバリを実現するためのベストプラクティスとして、多くの企業や組織において実践されている。国内企業でも、特にデジタルサービス向けのアプリケーション開発において、DevOpsを実践している例が増えている。しかし、近年、DevOpsにおいてはさまざまな課題が顕在化してきている。
DevOpsが、高度なソフトウェアスキルを持つ企業だけではなく、広く多くの企業で取り入れられるようになったことを背景に、エンジニアのスキル不足が課題となっていることが、ITRの調査でも露呈した(図1)。それに加えて、IT組織やプラットフォームのサイロ化がDevOpsプロセスを複雑にし、アプリケーション・デリバリのスピードの低下を招いている例もよく見られる。