企業のDXの取り組みは実践フェーズに入り、進行するプロジェクトでは多くの人材が起用されている。結果として、システム技術者は慢性的に不足の状況が続いている。本稿では、IT人材の不足とコスト上昇に備える戦略策定のポイントについて解説する。
ITRでは、ユーザー企業を対象に『システム技術者の契約単価および需要動向に関する調査』を2015年より継続して行っている。過去5年の調査結果を振り返ると、システム技術者の需要が増加している(「非常に増加している」と「やや増加している」)と回答した企業は毎年高い割合を占めており、2023年度は88%に上った(ITR Review 2023年12月号『ITR User View:システム技術者の契約単価と需要動向』#R-22312U)。
このようにほとんどの企業においてシステム技術者の需要が増加傾向にあるなか、その人員確保はできていない状況が見られる。同調査で、システム技術者8職種についてその需給状況を問うたところ、中上級レベルのシステムエンジニアおよびプログラマーについては、「あまり人員を確保できていない」または「ほとんど人員を確保できていない」と回答した企業が特に多く、約6割を占めた(図1)。