企業のマーケティング業務における顧客へのアプロ―チ方法は、WebやSNSなどデジタルの接点が重視されている。そしてデジタルマーケティングでは、遵守すべき法規制をはじめとするコンプライアンス対応が必要である。本稿は、企業のデジタル化推進を担うIT部門が知っておくべき、デジタルマーケティングにおけるコンプライアンス対応について解説する。
企業のコンプライアンス対応といえば、リスク対応部門や監査部門がポリシーや監査方法などのルールを制定し、業務部門がそれに従って業務を遂行するのが一般的である。しかし、ほとんどの業務がコンピュータを介して遂行される昨今では、コンプライアンス遵守のチェック対象が、デジタル上での業務処理になることが多く、しかも遵守すべきルールについてもデジタル固有の留意事項が存在する。
マーケティング業務についても、Web検索やECサイトでの購買など、顧客のデジタル行動に応じたアプロ―チに対しても、固有のコンプライアンス対応が求められる。そのなかには、企業のIT部門が管轄するデータベースや、データを管理するサーバやネットワークのセキュリティに関連するものもある。デジタルの専門家であるIT部門は、マーケティング部門やリスク対応部門などへの支援のために、デジタルマーケティングのコンプライアンス対応に関して正しい知識を身に着けておく必要がある。