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【R-223032_6962705772】OI(オペレーショナル・インテリジェンス)とは何か

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 9, 2023 3:53:20 AM

BIは、企業においてデータを集計・分析し意思決定に役立てることを目的としたシステムとして長らく利用されてきたが、近年、同じ目的において、BIとは異なるシステムであるOIが注目されている。本稿では、BIとOIの違いを整理したうえで、その実現に必要な技術とデータドリブン経営との関連性について解説する。

BIとOIの違い

はじめに、BIとOIの違いを、小売店舗での利用を例にして、主なデータの種類や集計のタイミング、および意思決定の内容などを図1にまとめた。

図1.BIとOIの違い(小売店舗の例)

出典:ITR

BIでは、売上げの集計は1日の営業が終了したタイミングで行い、日ごとの売上金額を時系列に分析し、前日、前週の同じ曜日、前月の同日などの売上げと比較することで、売上げの良し悪しを判断する。これに対して、OIでは、開店から現在までの売上げがリアルタイムで集計され、事前に設定した営業時間内における売上げの増減パターンを基に、当日の閉店時の売上げを予測し、売上げの良し悪しを判断する。

また、BIでは、売上金額といった企業業績に直接関係する金額ベースの指標が特に重視されるが、OIでは、売上げに影響を与える先行指標として、客数や在庫数量も同様に重視される。例えば、レジ待ちの客数をリアルタイムで監視し、稼働レジ数の調整を即時に行う、あるいは在庫数量を監視し、適宜補充を行うことで欠品・品切れを最小限にとどめる、といった顧客満足度の向上を目的としたデータ活用が行われる。

上記にあげた違いは、目的とする意思決定の内容がBIとOIでは異なることを示唆している。すなわち、BIが目的とする意思決定は事後対応型(リアクティブ)であり、OIのそれは予防型(プロアクティブ)といえる。BIでは、定期的に作成されるレポートを基に、マネジメント層や経営層が意思決定を行い、その結果が現場に伝達された後にアクションがとられる。

一方、OIでは、現場で発生するデータをリアルタイムに集計・分析した結果を基に、従来の経験と勘で行われてきた意思決定をより正確なものとし、より迅速なアクションを可能にする。OIは、従来のBIではカバーできないVUCAといわれる不確実の時代に求められる、現場レベルでの正確な意思決定と迅速なアクションを支援するためのシステムといえる。