2022年より、ウクライナ情勢、円安進行、感染症拡大の懸念など厳しい社会情勢が続いている。一方、こうした社会的課題を克服するための変革があらゆる分野で進んでおり、多くの企業にとって近未来のデジタル社会の到来を前提とした戦略方針の確立は、優先すべき経営課題としてこれまで以上に避けて通ることのできないものとなるだろう。企業は、新時代のパラダイムに即した将来ビジョンを見据えて、2023年のIT戦略構想を立案することが望まれる。
ここ数年で企業経営を取り巻く環境は大きく変化し、経済・社会に対する価値観はすでに不確実性や不安定を前提としたものに切り替わっているといってよいだろう。ビジネス手法や商習慣も、コロナ禍を契機に新常態への移行が各所で加速度的に進んでいる。経営視点からもいくつかの重要なパラダイムシフトが起きており、パーパスドリブン、ステークホルダー資本主義、サステナビリティ経営といった新たな規範が急速に浸透したことがあげられる。企業はこれらのパラダイムに追随し、新時代に即した価値観を身につけ、戦略計画を備えることが急務である(ITR Review 2022年9月号『変容する経営パラダイム』#R-222095)。ビフォアコロナはわずか数年前の状況であるにも関わらず、コロナ禍が収束する頃には、生活様式からビジネススタイルに至る多くの物事が一世代前の光景として顧みられるようになるであろう。