世界的にWeb3に注目が集まっている。Web3を構成する先進的テクノロジを主体的に理解/評価し、自社のDXに活用すべきである。本稿では、Web3関連技術のなかでも特に重要と思われるDAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)に焦点をあてて解説する。
Web3に関する記事が国内のメディアで散見されるようになった。IT系メディアはもちろんのこと、一般誌や経済専門誌にも登場するようになっている。この種の最新トレンドは海外よりも日本が先行して流行するケースも少なくないが、Web3に関しては海外でも日本でも大きな注目を集めている。
Web3に対する確定した定義はまだないが、2014年にイーサリアムの共同設立者であるGavin Wood氏が自身のブログで初めて使ったとされている。同氏によると、Web3には以下の4つの特徴があるとしている。
この4つの特徴は、ブロックチェーンなどのWeb3関係テクノロジに詳しくない人には理解しづらいであろう。Wood氏が創設したWeb3 Foundation(所在地:スイス)では、Web3を次のような特徴を持つインターネットにすると述べている。
一方向の情報伝達であった「Web1」、インタラクティブなコミュニケーションやビジネスを可能にした「Web2」では、一部の企業や組織に富や権力が集中したことを受けて、「Web3」では分散型/非中央集権型インターネットを実現しようとしている。
元々、インターネットが登場した時は、誰でも通信環境さえあれば地球規模で等しく活動ができる、と多くの人々が信じていた。しかし、実際は、インターネット登場以前には考えられなかった巨大な力を持った少数の組織が生まれ、覇権を獲得したのである。その意味では、Web3は、インターネットの本来のポテンシャルを発揮するテクノロジの集合体と捉えることができる。
Web3関連として紹介されることが多いテクノロジには、ブロックチェーン、NFT(非代替性トークン)、DAO、スマートコントラクト、DeFi(分散型金融)サービス、DApps(分散型アプリケーション)などがある。メタバース(ソーシャルメディア、XRなどの組み合わせで実現するデジタル仮想空間)もWeb3の文脈で語られることが多い。