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【R-222105_6962561420】不確実性のマネジメント

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 20, 2023 8:02:50 AM

「VUCA」というキーワードが広く認識されるようになったが、不確実性下の意思決定は長年研究されてきたテーマである。また、不確実性をどうマネジメントしていくべきかについては、リスクマネジメントの国際規格から実践的に学べる点も多い。企業は、リスクマネジメントのプロセスの整備を進めていくことで、不確実性そのものではなく、目標や成果に対するリスクを明らかにしていくべきである。

企業を取り巻くリスクの増大

現代社会において、企業はさまざまなリスクに取り囲まれているといってよいだろう。2000年代を遡っても、2001年9月11日の米国同時多発テロに代表されるテロや戦争のリスク、2003年のSARSや現在の新型コロナウイルスなどの感染リスク、2008年のリーマンショックによる金融リスク、東日本大震災のような大規模な自然災害リスクなど、枚挙にいとまがない。

これらのリスクにより、ビジネス活動は大きな影響を受け、戦略や経営目標までもが修正を余儀なくされる。さらに、こうした外的脅威に加え、情報漏洩による知的財産の喪失、発展途上国拠点の労働紛争リスク、製品・サービスの欠陥による訴訟リスク、自社・委託先・再委託先を含む法令・コンプライアンス違反の不正行為など、リスク発生時の影響範囲や発生確率は多様多面である。不確実性の時代にこうしたリスクにどう対処していくべきかについて、自然科学や人文科学では「Decision Making under Uncertainty」、すなわち不確実性下の意思決定理論や確率論を中心に研究されてきた。