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【R-222095_6962446904】変容する経営パラダイム

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 13, 2023 1:37:51 PM

企業経営を取り巻く環境はここ2、3年で劇的に変化してきている。対処療法的に流行りの手法や考え方を取り込むだけでは、変化の波を捉えて持続的に企業価値を向上させることはできない。求められる新たな規範や価値観を十分に理解し、今日の企業経営のパラダイムシフトに追随する必要がある。

移り変わる経営パラダイム

VUCAの時代といわれる現代、経済社会に対する価値観はすでに不確実性や不安定を前提としたものに切り替わっている。ビジネスを取り巻く環境もコロナ禍を契機に大きく様変わりし、新常態への移行が各所で加速度的に進んでいる。なかには、それまで局所的にしか重要性が叫ばれてこなかった方法論や価値観が市民権を得て、堰を切ったように急速に世の中に普及するものもある。特にこの2、3年は、企業経営に関わるいくつかのパラダイムシフトが起こっており、経営理念の見直しやコーポレートステートメントの刷新など、新たな規範へ追随しようとする動きが目覚ましい。

ここ十数年の経営環境の変化は著しく、国際会計基準やSDGs対応といった重要案件も矢継ぎ早に浮上している。最近では、2022年4月に東京証券取引所の上場区分(一部上場、二部上場、マザーズ、JASDAQ)が新区分(プライム、スタンダード、グロース)に切り替わったことも記憶に新しい。こうした新たな仕組みや制度には着実に追従しなければならない。また、特に最近は経営パラダイムというべき規範的かつ根本的な思想や価値観の刷新が求められる傾向にあり、その点にも留意する必要がある。経営トップは、慎重に検討を重ねて新たな経営方針を打ち立てることが求められている。同時に、コーポレートステートメントの再構築後、これを従業員や関係者に正しく浸透させることも重要な課題となる。これらの活動が十分でない企業は、経営方針を確立し、言語化するとともに、シフトチェンジへ向けた訴求活動に注力することが急務である。全てのステークホルダーにおいて新たな思想や価値観が理解され、それを前提とした行動を期待できるようになるには時間を要するため、早期に着手することが望ましい。

こうした背景から、本稿では、いくつかの観点から昨今注目すべき経営パラダイムの整理を試みた。旧来のパラダイムが今後どのように切り替わっていくか、図1に沿って見てみよう。

図1.5つの経営パラダイムシフト

出典:ITR