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【R-222073_6962535439】急成長するSMS送信サービス

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 15, 2023 11:30:59 AM

コロナ禍により多くの企業では、顧客とのデジタルチャネルでのコミュニケーションの重要性が急速に高まっている。LINEなどのソーシャルメディアのメッセージングサービスの利用も拡大しているが、本稿では、開封率や着眼率の高さから、利用が急拡大しているSMS送信サービスについて解説する。

利用が急拡大するSMS送信サービス

ITRの調査によると、SMS送信サービス市場の2020年度の売上金額は128億円、前年度比48.8%増となった(図1)。利用急拡大の最大の理由は、企業が顧客に向けて送信したメールが、日々大量に受信するメールに埋没し、顧客によって開封されないことである。また、顧客がキャリアメールを使用している場合は、携帯電話事業者の変更によって、以前のキャリアメールアドレスでは顧客に届かない事態となっていた。これらのことを背景に、SMS送信サービスの場合、メールアドレスを使う必要がなく、変更される可能性が低い携帯電話番号のみで、着眼率の高いメッセージを配信できることも、導入を促進している。

図1.SMS送信サービス市場規模推移および予測(2019~2025年度・売上金額)

出典:ITR『ITR MarketView:ECサイト構築/CMS/SMS送信サービス/CLM/電子契約サービス市場2021』

SMS送信サービスとは、携帯電話番号を使って、スマートフォンや携帯電話に最大660~670文字のテキストメッセージを送信するサービスである。メール配信サービスと同様、管理画面から対象となる顧客を抽出して配信したり、MAやSFA/CRMなどのサービスとのAPI連携によって自動配信したりするサービスである(図2)。

図2.主要SMS送信サービスの概要

出典:ITR

国内市場は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが唯一シェア20%台でリードしているが、メディア4uやアクリート、Twilio、AI CROSSが追随している(ITR Review 2021年12月号『SMS送信サービス市場(2020年度)』 #R-22112V)。これらの高いシェアを誇るサービスは、携帯電話事業者に直接接続することを特徴としており、運用コストが安価な国際網と接続する国際SMS送信サービスと比較して、着眼率が高いことを訴求している。国内携帯電話事業者に直接接続することで、海外SMSの受信拒否だけでなく、国内であっても異なるキャリアからの受信拒否設定などを回避し、SMSが顧客に届く確率を高める仕組みにより、国際SMS送信サービスとの差別化を図っている。

また、近年ではメルマガのような一方向の送信のみでなく、チャットのように双方向でSMSのやり取りが可能となる機能も備えている。さらに、主要携帯電話事業者が展開している「+メッセージ」(RCS:リッチコミュニケーションサービス)やLINEにもオプションなどで対応するベンダーもある。顧客とのリッチな双方向コミュニケーションの重要度は増しており、「+メッセージ」を利用していない顧客には自動的にSMSで送信するなど、メッセージングを一元管理できるサービスも存在しており、今後、需要は高まるであろう。また、本人認証や督促以外での利用用途も拡大しており、ITRでは、2021年度のSMSサービス市場の売上金額は前年度比24.7%増、2020~2025年度のCAGRは12.3%と予測している(『ITR MarketView:ECサイト構築/CMS/SMS送信サービス/CLM/電子契約サービス市場2021』)。