Web会議はリモートワークにおいてなくてはならないツールとして定着したが、一方でWeb会議の増加が生産性に悪影響を及ぼすケースも散見される。本稿では、その解決策のひとつとして、ビデオメッセージングの可能性と課題を考察する。
Web会議ツールは、コロナ禍によって最も活用が進んだツールのひとつである。物理的な接触が制限されるなかで対面コミュニケーションを実現する極めて有効なツールではあるが、その反面、不必要な会議が増加しやすいというデメリットも指摘されている。なかには、業務時間の大半がWeb会議で埋まってしまうという従業員もいるだろう。また、多国籍企業においては、タイムゾーンの異なる拠点間でのWeb会議の繰り返しが、従業員にとって心身の負担となっている場合も多い。昨今では「Web会議疲れ」といった言葉もしばしば耳目にする。
このように、Web会議は、運用の仕方によっては従業員の生産性やエンゲージメントを阻害する要因ともなる。組織のマネージャーは、日常的に行われているWeb会議が、費やすリソースに見合う効果を創出しているか、改めて評価する必要があろう。
そうしたWeb会議の課題を解決する手段のひとつとして、ここにきてビジネスシーンでも注目されているのが「ビデオメッセージ」である。短時間の動画や音声、あるいはPCのデスクトップ画面の録画データを手軽に作成してクラウド上で共有できるツールが登場したことにより、相手の表情や感情が読み取りやすい「対面型」の利点を取り入れつつ、時間の制約を受けない非同期型コミュニケーションを実現する有力な手段と考えられるようになってきた(図1)。
今後、働き方の多様化がさらに進むことが予想されるなかで、非同期型コミュニケーションを積極的に取り入れることは、生産性と働きやすさの両立を図るうえで重要な取り組みになると考える(ITR Review 2022年3月号『非同期型コミュニケーションのすすめ』#R-222031)。ビデオメッセージングは、そうした非同期型コミュニケーションをスムーズに進めるための有力なソリューションのひとつになり得る。