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【R-222041_6962635169】DXを加速させる特区戦略

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 15, 2023 7:32:32 PM

DXを推進するうえでさまざまな組織論が検討・試行されているが、多くの企業ではいまだ最適解を見出せていないのが現状だ。特に大手企業や伝統的ビジネスを展開してきた企業では、既存の組織体制、制度、ルール、文化などが推進の足枷になることも多い。その解決策として、これらの障壁を取り払った自由度の高い特区環境の構築への関心が高まってきている。

DX推進の障壁

国内においてDXを経営課題と捉える企業は増加し、実際に組織体制の構築やプロジェクト組成に取り組む例は多く見られる。しかし、大多数の企業は、DX推進が順風満帆に進んでいるとは見ておらず、そこに少なからず阻害要因があり、推進の妨げになっていると考えている。ITRが2020年に実施した『デジタルビジネス動向調査』において、最大の阻害要因として回答が集中したのは「エンジニアやスキルの不足」であった(図1)。

図1.DXプロジェクト推進の阻害要因

出典:ITR『デジタルビジネス動向調査』(2020年8月調査)

これを喫緊課題と捉えて、現在、多くの企業がデジタル人材育成に取り組んでいるのは周知の通りである。全社的なスキルやリテラシーの底上げを意図して、社内資格制度や教育・研修プログラムを展開する企業は増加傾向にある。また、より具体的で実践的な場として共創ラボを設けたり、デジタルイノベーションに向けて従業員のモチベーション向上を促すためにハッカソンや表彰制度を採用したりする例も見られる。

一方、次なる推進の阻害要因として示されるのが「社内制度や組織の壁」である。一般的に、特に大企業においては、部門間や上下間の風通しがよくなく、組織が硬直化しやすい。また、伝統的ビジネスを手掛けてきた企業では、変化を必ずしもよしとせず、何か新しいことを始めようとすると往々にして抵抗勢力が付きまとう。組織構造が官僚的であれば、ルールを逸脱できない、失敗が容認されないといったカルチャーも生まれやすい。つまり、DXを推進しようとする企業では、多かれ少なかれ既存の組織、制度、ルール、文化などが足枷になっており、これらを打破する組織体制のあり方が模索されている。その解決策として検討対象となるのが「特区戦略」である。