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【R-222033_6962446908】社内標準Webブラウザへの移行動向

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 17, 2023 10:07:22 PM

Internet Explorer(以下、IE)11のサポート終了が2022年6月15日(米国時間)と迫るなか、IEを社内標準Webブラウザに定めてきた企業は、次期標準Webブラウザの策定と移行作業を行っていることであろう。そこで本稿では、企業における社内標準Webブラウザの動向と、EdgeのIEモードの利用について解説する。

社内標準Webブラウザの策定状況

長い年月、多くの企業で社内標準Webブラウザとして利用されてきたMicrosoft社のIEのサポート終了が発表された。IEのサポートはこれまで、各バージョンのWindowsにインストール可能な最新版が対象であったため、IE11のサポート期限は、Windows 10 Enterprise LTSCの初期バージョンのサポート期限である2025年10月14日と推測されていた。しかし、2021年5月にMicrosoft社は、Windows 10のIE11デスクトップアプリのサポートを2022年6月15日に終了すると発表した。この発表を受け、多くの企業は、社内標準ブラウザの移行や、移行後も残るIE11用WebアプリケーションおよびSaaSなどの移行候補ブラウザでの動作確認に取り組んでいると推察される。そこで、同発表の2ヵ月後に行った調査結果から、「社内で標準に定められている」および「業務で利用している」Webブラウザについて見てみる(図1)。

最多の社内標準WebブラウザはIEで62%にのぼり、コンシューマー市場で圧倒的シェアを誇るGoogle社のChromeは43%となった。また、Chromeと同じレンダリングエンジンを搭載し、アドオンを含むChromeとの互換性が高まった2020年1月にリリースされたMicrosoft Edge(以下、Edge)を標準と定めている企業が27%にまで高まったことは注目に値する。一方、Windows 10が最初にリリースされた際に、IEの後継WebブラウザとしてMicrosoft社がWindowsに標準搭載したEdge Legacy(バージョン80未満)は7%と少なかった。すでに2021年3月にサポートを終了しており、早期に同ブラウザを標準としていた企業がやむを得ず利用している状況と思われる。また、IEまたはChromeを業務で利用している企業の割合が、標準に定められている企業の割合を大きく上回っている理由は、それぞれ異なる。IEの場合、情報収集のためのWebサイトの閲覧や、SaaSなどWebサービスの利用においてはChromeなどを標準に定めているが、一部の社内WebアプリケーションはIEでしか正常に動作しないことから、例外的に利用されていると考えられる。一方、Chromeの場合は、IEが社内標準に定められているものの、前述のWebサイト閲覧などではChromeの利用が容認されているのであろう。いずれにしても、現在、IEを社内標準ブラウザに定めている企業の多くは、ChromeまたはEdgeを次期標準に定めて、移行を急いで進めていると思われる。

図1.社内標準に定められている/業務で利用しているWebブラウザ(複数回答)

出典:ITR(2021年8月調査)