デジタル産業革命が進展するなか、テクノロジの積極活用による新たな価値創造でビジネスの成長を促進する取り組みがグローバルで加速している。そのインパクトは国内製造業においても非常に大きく、目指すべきものづくりの方向性のひとつの解として、マスカスタマイゼーション(個別大量生産)の実現がある。製造業は、ものづくりの競争力を左右する重要なテーマとして、マスカスタマイゼーションへの取り組みを強化すべきである。
マスカスタマイゼーションは、顧客の個別仕様、理想としては一品一様の仕様で製品を設計・製造しつつも、リードタイムやコストを量産品並みにしていくイノベーションである。マスカスタマイゼーションにより、従来は受注することが不可能であった個別仕様を製品化することができれば、収益増、または新たな収益源となるばかりか、フルカスタマイズ型受注生産の競合企業に対する競争優位を得ることもできるだろう。逆にいえば、競合企業がマスカスタマイゼーションの実現で先行すれば、市場における自社のポジションが大きく脅かされることにもなりかねない。マスカスタマイゼーションにどう取り組んでいくのか、どのようなマイルストーンで実現していくのかは、これからの製造業にとって極めて戦略性が高い挑戦となるだろう。